中国越境ECの主要モール7選|おすすめサポート会社や参考事例も紹介【2024年3月最新版】

中国越境ECの主要モール7選!おすすめサポート会社や参考事例も紹介

「中国越境ECにおいて自社に合うモールがわからない」
「中国EC越境に強いサポート会社を知りたい」
「中国で越境ECを始めるときに注意すべきことを知りたい」

経済的に成長し続ける中国EC市場は、全世界のEC市場で圧倒的に世界1位の市場となっています。日本での販売のみならず、そのため新たなニーズ獲得のために、巨大市場である中国への参入を検討する日本企業もいるのではないでしょうか。オリジナルECサイトを作るよりも、まずは中国ECモールで出店するほうが、言語・決済を自社で用意せず手軽に出店できると考えていると思います。しかし、多様な中国ECモールがあり、「どのモールから出店を検討すればいいか」と悩んでいる方も多いでしょう。

そこで本記事では、中国越境ECの主要モールを紹介!各モールごとにおすすめの企業も紹介します。ぜひ本記事を自社の事業拡大のためにお役立てください。また、越境ECについて基本から知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。
関連記事:海外でECを展開するには|越境ECの基本と注意点

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目次
  1. 1. 中国越境ECの主要モール7つ
    1. 1-1. 天猫国際(T-MALL GLOBAL)
    2. 1-2. 天猫商城(Tmall.com)
    3. 1-3. 京東商城(JD.com)
    4. 1-4. 拼多多(pinduoduo.com)
    5. 1-5. 蘇寧易講(Suning)
    6. 1-6. 孝拉海購(koala)
    7. 1-7. 百分百(baifenbai)
  2. 2. 中国越境ECのサポートにおすすめの会社
    1. 2-1. おすすめの越境EC運営代行会社
    2. 2-2. おすすめの越境EC物流会社
  3. 3. 中国越境ECの参考事例
    1. 3-1. Fujiko|中国の若い女性のライフスタイルに合ったコスメを展開
    2. 3-2. Youzan Japan|北海道の中小企業を支援
  4. 4. 中国のEC市場の特徴3つ
    1. 4-1. アリババグループが中国EC市場を独占
    2. 4-2. 保税区モデル・直送モデルの2つの発送方式がある
    3. 4-3. ライブコマースが多く使われている
  5. 5. 中国へ越境ECする際の注意点・コツ
    1. 5-1. 商品ならではの注意事項を確認する
    2. 5-2. 越境ECでかかる税について理解する
    3. 5-3. ポジティブリストを確認する
    4. 5-4. 同じ商品でも日本と同様に中国で受け入れられるとは限らない
    5. 5-5. 微信(WeChat)や微博(Weibo)の導入が必須
    6. 5-6. モバイル決済の導入が必須
    7. 5-7. 独身の日、618商戦に向けてプロモーションをする
  6. 6. 中国越境ECまとめ

中国越境ECの主要モール7つ

中国越境ECの特徴を知っておくために、まずは中国越境ECで主要なモールについて理解することが重要です。ここでは中国越境ECでおさえておくべきモールを7つお伝えします。

モール名

特徴

取引額

(2020年度:

日本円換算)

商品ジャンル

おすすめ企業

天猫国際

(T-MALL

GLOBAL)

アリババ

グループが

運営する

中国最大の

ECサイト

55兆7,419億円

高級ブランドの

ファッション、

家具家電など

大手企業、

自社商品の

知名度が

すでにある企業

天猫商城

(Tmall.

com)

化粧品、健康食品、

ファッションなど

質にこだわる

化粧品や

健康食品を

出店する企業

京東商城

(JD.com)

2016年より

WeChatを

運営する

テンセント

グループの

一員

39兆6,578億円

家電、化粧品が

中心

家電を

出店する企業

拼多多

(pinduoduo.

com)

地方出身、

低・中所得者

多く利用

している

25兆3,142億円

衣類、食品など

共同購入しやすい

ものが多い

薄利多売で

利益を

得やすい

商品を

扱っている

企業

蘇寧易講

(Suning)

実店舗と

オンラインで

同様の購買が

できる

4兆4,073億円

マザー・ベビーグッズ、

美容化粧品、生活用品、

健康食品など

家電商品を

出品したい

企業、運送費を

抑えたい企業

孝拉海購

(koala)

日本法人でも

出店可能。

日本の

銀行口座に

日本円で

入金できる

化粧品、健康食品、

ファッションなど

女性向け用品

税金や

法人登録などの

手間を省きたい

企業

百分百

(baifenbai)

日本向け

商品を

多く

扱っている

化粧品、マタニティ用品、

日本の特産品

メイクアップ用品、

ベビー・マタニティ

ブランド、日本の

特産物を扱う企業

天猫国際(T-MALL GLOBAL)

天猫国際(T-MALL GLOBAL)

画像引用:天猫国際(T-MALL GLOBAL)

天猫国際は、アリババグループが2013年に開設したBtoC向けショッピングモール型ECサイトです。天猫商城(Tmall.com)や孝拉海購(koala)を含むTmallグループは、中国EC市場の50.8%(2020年実績)のシェア率を誇る大手ECサイトです。中国ユーザーから高い信頼性があるのが特徴です。

天猫国際は「高級で本物志向のニーズに応える」ことを目標としています。そのため、出店するには、厳しい審査に通ることが必要です。審査条件のなかには、中国での法人登記かつ、中国での商標登録書や販売権利書を取得することなどがあります。天猫国際にはパナソニックやユニクロ、資生堂などの大手日本企業が多く参入しています。

天猫国際に出店するときは、保証金や年会費、販売金額に応じた手数料を支払う必要がありますが、質の高い商品を購入したい中国富裕層に売れる可能性が高いです。

天猫商城(Tmall.com)

天猫商城(Tmall.com)

画像引用:天猫商城(Tmall.com)

天猫商城も天猫国際と同様に、アリババグループによるECサイトです。天猫国際のサイトデザインが富裕層向けであるのに対して、天猫国際のサイトはポップな印象を与えます。

天猫商城にはファッションや家具家電、ペット用品、アクセサリーなどの幅広いジャンルが揃っています。しかし本物志向商品や高級ブランドよりも、手ごろな値段で若者が好むデザインのものが多いです。また、楽天市場で実施している「最大90%オフセール」「おまとめ割」のような、お得なキャンペーンを定期的に開催しています。

京東商城(JD.com)

京東商城(JD.com)

画像引用:京東商城(JD.com)

京東集団が運営する京東(ジンドン)は、天猫グループに次いで2位の規模を持つ直販型越境ECです。2015年6月に日本製品専門サイト「日本館」をオープンし、2020年の流通総額は39兆6,578億円になりました。

京東商城の特徴は、物流ネットワークが強いことです。Amazonのように巨大な自社倉庫を構えて迅速な対応に注力しています。また、国際物流を手がけるヤマトグローバルロジスティクスジャパンと提携しているので、日本企業に対する出店・出品サポート体制が整っています。

そして、PCや周辺機器の販売に力を入れているのも特徴です。京東商城は「2025年までに直営の家電販売店を中国で320店を出す」と発表しています。実店舗との連携を通じて、さらなる事業拡大が期待できるモールです。

拼多多(pinduoduo.com)

拼多多(pinduoduo.com)

画像引用:拼多多(pinduoduo.com)

拼多多(ピンドウドウ)は2015年に創業、2020年第4四半期の売上は265億4770万元(約4427億円)となっています。アリババグループが運営する淘宝網(タオバオワン)の後継サイトであり、2020年末の拼多多の電子商取引(EC)利用者は7億8800万人と、中国EC市場で利用者数1位となりました。

拼多多の購入者ターゲットは「地方部の低・中所得者」です。北京や上海などの大都市には多くの高所得者が暮らしている一方、地方都市には多くの低・中所得者が住んでいます。
拼多多には共同購入で安く買えるサービスがあり、人との繋がりが深い地方の特性を活かした集客に成功しています。

拼多多のセールスポイントは「とにかく商品が安い」ことです。
そのため拼多多で出品をするときは、事前に販売予定の商品と類似する商品の販売状況を拼多多で調査して、価格競争を回避することが重要です。

蘇寧易講(Suning)

蘇寧易講(Suning)

画像引用:蘇寧易講(Suning)

蘇寧易講(スニン・コム)は、中国の家電小売販売企業「蘇寧電器(そねいでんき)」が運営するモールです。実店舗とオンラインで同様の購買行動ができるO2O型の経営にモデルチェンジし、家電製品だけでなく、小売、物流、金融の3大事業を融合した収益化モデルを構築しています。

特徴は、ユーザーの認知度やサービスの信頼度が高いことです。中国を代表する家電通販の蘇寧電器は20年以上もの信頼と実績があるので、ユーザーの蘇寧易講への信頼感も高いです。また、蘇寧電器が大規模な仕入れに関して長年の経験があることから、蘇寧易購は仕入れコストを削減できています。そのため、蘇寧易購には消費者に安価で商品を提供するシステムがあります。

現在は家電だけでなく、食料品や衣類、ベビー用品、生活用品、電子書籍のほか、ホテル宿泊や航空券などさまざまなジャンルの商品を揃えています。

孝拉海購(koala)

孝拉海購(koala)

画像引用:孝拉海購(koala)

孝拉海購(カオラ)は、中国インターネットサービス大手のネットイースが運営する越境EC事業です。2019年からアリババグループの参加に入り、天猫国際と合わせると中国越境EC市場で50.8%(2020年実績)のシェアを握りました。

孝拉海購のユーザー層は約8割が女性です。そして、30歳以下のユーザー比率は約60%を占めるほど、若いユーザーが多いのが特徴です。孝拉海購では約80ヶ国以上、約10,000を超えるブランドが販売されていて、日本でもコーナン商事や多くの企業が出店しています。

また孝拉海購は、3つのモデルから選んで販売できるのが特徴です。

直営モデル

アリババがブランドから商品を購入し、孝拉海購上で販売する

出店モデル

ブランドがサポートを受けながら、Kaola上で旗艦店を運営する

KOFモデル

海外倉庫を活用して、Kaola上のKOFストアで販売を行う

そして日本法人でも出店可能で、日本の銀行口座に日本円で入金されるため、他のモールよりも出店のハードルがやや低いのが特徴です。また、日本からの直送が可能なので、とりあえずEC事業を始めたい方におすすめといえます。

百分百(baifenbai)

百分百(baifenbai)

画像引用:日本貿易振興機構(ジェトロ)

百分百(バイフンバイ)は、中国最大の検索サービス「百度」の日本法人であるバイドゥが運営する中国向け越境ECプラットフォームです。百分百では中国で月間6億人が利用する百度検索エンジン、ビッグデータが活用されています。

バイドゥは、訪日中国人向けのインバウンドビジネスの回復のために百分百を立ち上げたこともあり、日本の製品を多く扱っているのが特徴です。とくに、「化粧品やマタニティ商品など、肌に触れる商品は質が高いものがよい」と、質にこだわるユーザーから高い評価を受けています。

また2021年より、元サッカー日本代表選手の中田英寿氏が日本約2,000か所の中から厳選したこだわりの逸品を購入できる、「にほんものストア」が設置されました。にほんものストアでは、京都府の金平糖や佐賀県の有田焼、広島県の牡蠣加工品など、日本を象徴する特産物が購入できるようになっています。

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中国越境ECのサポートにおすすめの会社

中国への越境ECを始めるときは、サイトの構築方法や税金・税関を含めた物流の仕組みを把握することが大切です。そのため、これらに強い人員を確保することが必要になり、かなりの手間がかかります。このときに知っておきたいのが、越境ECに強いサポート会社と物流会社です。ここでは、中国越境ECのサポートにおすすめの代行業者と物流会社をお伝えします。

おすすめの越境EC運営代行会社

越境ECに強い運営代行会社を選ぶポイントは、次の2つです。

・越境ECの運営実績がどれくらいあるか
・EC運営でもどの部分に強みを持っているか

これらのポイントを踏まえて、Web幹事がおすすめする運営代行業者は次の3社です。

株式会社エフカフェ

株式会社エフカフェ

画像引用:エフカフェ

株式会社エフカフェのポイント ・中国での越境EC出店支援・運営代行を提供
・EC運用の実績豊富
・顧客分析、利用状況分析に強み

株式会社エフカフェは、大阪市淀川区にあるEC支援サービス会社です。物流網の確立、天猫国際の広告企画、サイト構築、運営、受注業務、翻訳までワンストップで支援しています。

ECサイトの運用は15年以上、構築・運用サイトの累計300以上の実績があります。また、同社オリジナルのCXの品質向上・改善支援パッケージ「CX Navigate」を提供し、マーケティング、広告・SEO、フォーム最適化、リピート施策などの支援が可能です。

同社は、神戸の洋菓子店モロゾフやベルメゾンのYahoo! ショッピング店などを運営。2010年に中国に現地法人を設立し、中国市場へと進出しました。

JUTOU株式会社

JUTOU株式会社

画像引用:JUTOU株式会社

JUTOU株式会社のポイント ・中国SNSの運営代行を提供
・中国でのインフルエンサーマーケティングに強み
・日用品や化粧品、医療部品など多様な業種での支援実績を保有

JUTOU株式会社は、東京都中央区にある越境EC・インバウンドの営業コンサルタント会社です。
天猫や京東などの中国ECモールへの出店・運営代行を行っています。中国の代表的なSNSであるWeChatのアカウント開設・運用代行もしていて、月額19,800円からWeChatでの記事翻訳・配信代行を支援しています。

また、依頼者の商品や予算に応じて適切なインフルエンサーを選定してくれます。商品使用のライブ動画の配信や、中国ネットニュースへの記事配信などにも対応可能です。

Inagoraホールディングス株式会社

Inagoraホールディングス株式会社

画像引用:Inagora株式会社

Inagoraホールディングス株式会社のポイント ・自社プラットフォームを通じた越境EC参入を支援
・取り扱いブランド数、商品数が豊富
・中国の他ECチャンネルへの参入支援も提供

Inagoraホールディングス株式会社は、東京都港区にあるECコンサルティング会社で、中国向け越境ECの自社プラットフォーム「豌豆(ワンドウ)プラットフォーム」を提供しています。

為替リスクのない、元での支払いを円で受け取れる売上管理や、最短3日で日本と中国間を輸送する流通などで中国での越境ECをサポートします。さらに、同社の越境ECプラットフォームに出店すると、自動的に複数の中国国内のECアプリで商品を販売することも可能です。

同社の越境ECプラットフォームでの取り扱いブランド数は3,300、商品数40,000と豊富です。主な取引先企業は、東急ハンズ、LOFT、カゴメ、コカ・コーラ、DHC、ミキハウスなど、さまざまな業種の企業と取引しています。

おすすめの越境EC物流会社

越境ECに強い物流会社を選ぶポイントは、次の2つです。

・書類作成・通関手続きに関するサポートがあるか
・スピ―デイかつ丁寧に発送できるか

これらのポイントを踏まえて、Web幹事がおすすめする物流会社は次の3社です。

FedEx(フェデックス)

FedEx(フェデックス)

画像引用:FedEx

FedExのポイント ・輸送準備サポートサービスで、出荷書類の作成代行や梱包などをサポート
・北海道、東京、大阪、愛知だけでなく北信越、中国・四国、九州地方に
   営業担当チームを配置

・商品の在庫を保管する倉庫の確保や在庫管理をサポート

FedExは、日本と世界を結ぶ海外配送サービスを提供している運送会社です。2022年に物流ロボットを手掛ける中国のDorabotと連携し、インテリジェント仕分けAIロボット「DoraSorter」を導入しました。Eコマース商品の取扱量増加が続いているのを受け、輸送業務のデジタル化とスマートな物流ネットワークの構築を推進することを狙っています。

またFedExには、BtoCの越境ECを行う事業者が使いやすいサービス「FedExインターナショナル・コネクト・プラス」があります。10kg未満の商品であれば1~5営業日以内に配送が可能です。さらに、FedEx Delivery Managerというツールを併用すると、購入者自身で商品の受け取り方法や日時を指定可能です。小口の商品を送ることが多い方、日時指定やスピーディーな配送にこだわりたい方におすすめです。

DHL

DHL

画像引用:DHL

DHLのポイント ・当日発送や時間指定配達などのプランが充実
・「DHL EXPRESS EASY」プランなら、梱包資材が無料
・DHLで飛行機を保有しているので、航空便の欠便・減便に影響されない

DHLは、ドイツに拠点を置いている国際宅配サービスを提供している企業です。世界でも知名度が高く、多くの事業者が海外への発送手段としてDHLを採用しています。中国を始め、228以上の国と地域に対する配送に対応しています。

また、集荷から宅配まで一貫輸送できます。購入者と出店者はつねにトラッキングナンバーで追跡確認ができるため、商品が配達されないなどのトラブルに対応しやすくなります。日本国内の一部店舗では、24時間対応のカスタマーサービスもあります。

自社内で飛行機を所有しているのもポイントです。EMS便の場合は旅客機を使うので、コロナなどの影響で遅延したり料金が変更になる場合があります。一方DHLはそれらの影響を受けにくいので、東京から北京まで2日ほどで到着します。DHLは早く荷物を送りたい方、荷物追跡サービスを受けたい方にはおすすめです。

日本通運

日本通運

画像引用:日本通運

日本通運のポイント ・セール、イベントによる急激な件数増に対応できる
・中国側大手プラットフォーム事業者ともリアルタイムでの情報連携可能
・日本国内集荷から中国までの商品輸送状況をシステム管理

日本通運は、中国をはじめ世界各国の運送をサポートする大手物流会社です。大口貨物・緊急貨物に柔軟に対応できます。また通関では、マニフェスト通関(運送契約ごとにまとめて申告する制度)や一般通関を選ぶことも可能です。

日本通運は、2016年にアリババグループと業務提携して、天猫国際出店者への物流サービス提携を本格的に開始しました。天猫国際への出店を考えている方、一度に大量の商品を出荷する方におすすめの物流会社です。

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中国越境ECの参考事例

事例を見ておくことで、あなたの会社での中国越境ECのイメージの参考になるでしょう。ここでは中国越境ECで成功した日本の企業を2社簡単に紹介します。

Fujiko|中国の若い女性のライフスタイルに合ったコスメを展開

Fujiko|中国の若い女性のライフスタイルに合ったコスメを展開

画像引用:Fujiko

Fujikoは、2016年に日本国内で販売がスタートした化粧品ブランド。2017年に中国市場に進出してから半年ほどで、生産が追いつかず欠品が発生するほどの爆発的なヒット商品となりました。

Fujikoの中国越境ECでの主な取り組みは次の3つです。
・タイやロサンゼルスなど限定的な海外EC展開をテスト
・機能性を重視する働く女性に付加価値を提供
・定期的にKOLを都内に集めて大規模ライブコマースを配信

ポイントは、Fujikoブランドのコンセプトが、中国の働く女性に見事にマッチしたことです。ライフスタイルの変化に敏感で、効率さに魅力を感じる女性に合ったプロモーションを取り入れています。

Youzan Japan|北海道の中小企業を支援

Youzan Japan|北海道名産品を集めたECサイト

画像引用:Youzan Japan

越境ECサービスを提供するYouzan Japanは、2020年に北海道内にある事業者の人気商品を集めた越境ECサイト「北海道商店」をオープンしました。それにより、北海道内の中小事業者の中国市場進出をスタートアップからサポートしたことで、企業は簡単に越境ECを運営できました。

Youzan Japanの中国越境ECでの主な取り組みは次の3つです。

・ライブコマースでKOLによるブランドイメージ構築
・ECプラットフォーム「Youzan」のリソースを活用
・中小企業のWebプロモーション、顧客対応なども支援

北海道商店の成功ポイントは、個別対応ではハードルが高い越境ECを、Youzan独自のサポートで出店企業を支援したことです。物流やサイト構築をサポートしたことで、企業は商品の仕入れなどに専念しやすくなりました。また、すでにYouzanのプラットフォームにはECの機能が1,000種類以上、リアル店舗の機能が2,000種類以上あるので、ITの専門知識がない企業でもECを簡単に始められるのもポイントです。

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中国のEC市場の特徴3つ

中国のEC市場の特徴3つ

中国市場に参入する前に、中国市場の特徴を今一度把握・整理しておくことで、戦略が立てやすくなり事業拡大にも役立ちます。

アリババグループが中国EC市場を独占

世界の半数以上のEC市場を中国が締めていますが、そのうち50.8%はアリババグループです。2位の京東が15.8%と、その差は約3倍以上にも及ぶほどです。世界中でシェアを独占しているAmazonが中国から完全撤退するほど、アリババグループは中国で絶大な支持を得ています。

アリババグループが中国EC市場を独占

画像引用:令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)

アリババグループが急成長した理由の1つは、高品質の本物商品の販売に徹底していること。アリババグループでは質にこだわった商品を揃えたモールのため、偽物が多く出回る中国市場においてユーザーが安心して購入できる環境を整えました。

また、中国EC業界における最新のトレンドを取り入れていることも理由の1つ。アリババグループはAIによるチャットサービス「シャオアイス」やECサイト対応のスマートスピーカー「Tmall Genie」を開発。これらを導入したことで、音声検索機能が充実し、ユーザーは買い物がさらに便利になりました。このようにアリババグループは、時代の最先端を行くサービスを提供し続けています。

保税区モデル・直送モデルの2つの発送方式がある

中国での越境ECに進出する際は、スムーズな取引をするために、発送方式についても理解しておくことが必須。中国向けの越境ECには、大きく「保税区モデル」と「直送モデル」があります。

保税区モデル

中国国内にある保税倉庫に商品を保管し、消費者からの注文が入るとそこから出庫される方式です。保税倉庫とは、一時的に関税の徴収が保留された貨物を保管する倉庫を指します。倉庫を使うため、大量の商品を現地にストックしたい企業に向いています。

中国国内から発送されるため、購入者に速く荷物を届けられるだけでなく、送料が直送よりも安くおさえられます。ただし、保税区での倉庫保管などに一定のコストが掛かることに注意が必要です。関税や行郵税、増値税、消費税が課される場合もあります。

直送モデル

直送モデルは、中国国外から中国国内の消費者に直接商品を発送する方式です。
商品を個別で、EMS便や国内の物流会社を使って発送します。小型の商品を扱う、小規模な越境ECに向いています。

直送モデルのメリットは、保税区での倉庫保管に関するコストがかからないこと。また、商品が50元未満であれば免税されるのも嬉しいポイントです。ただし、国外からの発送のため、保税区モデルよりも注文から商品到着まで時間がかかります。また、送料もかかるため、出品者はその分商品価格を高めに設定する必要があります。

ライブコマースが多く使われている

ライブコマースとは、インターネットを通じた動画のライブ配信と物販を組み合わせた販売手法です。とくに中国では、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれるインフルエンサーが活躍しています。ECサイトではKOLが動画やライブコマース形式で商品を紹介して、視聴者が実際にその商品を購入するフローが盛んに行われています。

iResearch社の調査によると、2020年時点でKOL経由でのEC市場規模は約3,000億元に達します。写真や文章だけでは伝えにくい商品の魅力を訴求できるとして、多くのアパレルや化粧品を扱うECサイトで取り入れられています。

ライブコマースの事例は下記記事をご参照ください。
関連記事:ライブコマース参考事例10選!売上UP・成功するための秘訣まで解説

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中国へ越境ECする際の注意点・コツ

中国へ越境ECする際の注意点

ハードルが高いイメージのある中国越境ECについて、知っておきたい主な注意点・コツを7つご紹介します。これらをおさえておくことで、スムーズな取引や売上確保につながります。

商品ならではの注意事項を確認する

商品によって、中国に輸出するときに注意すべきことは違います。ここでは、化粧品と食品に関する注意事項、越境ECをする際に知っておきたい「中国電子商取引法」についてお伝えします。

化粧品を販売するときの主な注意事項

まず、「製品品質法」などの規定に基づき、次の内容が中国語(簡体字)で表示されている必要があります。

製品名称/製造企業名称/製造国/製造企業所在地/容量/ロット番号/使用期限/使用上の注意事項/輸入特殊用途化粧品衛⽣許可証番号または輸入非特殊用途化粧品届出番/中国で責任のある業者(輸入業者または販売業者)名称および所在地など

上記内容のラベルに変更する場合は、「化粧品製造業ライセンス」が必要です。

次に、化粧品の種類によっては、独自の梱包方法が必要です。例えば、香水、ネイル、オイル製品、スプレー缶などが危険品にあたる場合があります。

危険物の国際輸送については、「危険物の運送で使用すべき品名・国連番号(UN番号)」、「クラスごとに表示すべきラベル」、「国連分類」、「輸送用容器(包装・梱包方法)に関する要件」を申請書類に明記する必要があります。

食品を販売するときの主な注意事項

東日本大震災後、中国では日本の食品に関して厳しい規制が設けられています。なかには輸入停止措置が取られているものもあり、輸出する際は日本政府が発効する証明書が必要です。

例えば、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、長野においては、すべての食品、飼料の中国への輸入が停止中です。新潟は、米を除く食品、飼料の中国への輸入が停止されています(2022年現在)。
また、食品栄養成分や添加物が中国の法的要求を満たすことも、中国輸出の条件になります。化粧品と同様に、中国語でのラベル表記は必須です。

中国電子商取引法

中国電子商取引法の適用範囲は、中国でインターネットを介して商品を販売する人すべてが対象です。営業許可証の取得や納税義務などが発生し、違反すると刑事責任が問われます。

とくに天猫(Tmall)、京東商城(JD.com)などの大型ECモールサイトを展開する「電子商務プラットフォーム経営者」に対して厳しい義務があります。例えば、経営者が知的財産権を侵害していたり、模倣品を販売している出展者を放置した場合、日本円にして約800~3,200万円の制裁金が課されるのです。この法によって、電子商務プラットフォーム経営者側に重い責任を課すことにより、中国市場は悪質な出展者から消費者を守る仕組みが作られています。

越境ECでかかる税について理解する

スムーズな取引や売上確保のために、中国越境ECに関わる税について、役割や仕組みを理解しておきましょう。主な税は次の3つです。

 

概要

税率の例(2022年度)

関税

中国に輸入される商品に課される税金


商品が中国の税関を通る際に徴収される

平均輸入関税率:7.4%

行郵税

郵送などで商品を一定以上輸入する場合に課せられる


ECサイトに負担者を明記するとトラブルを防げる

(直送モデル)

食品・家具・PCカメラ用品:13%

自転車・服:20%

タバコ・酒類・高級化粧品:50%


(保税区モデル)

化粧品・家電・食品:11.2%

ワイン・宝石・貴金属:20.2%

増値税

中国国内で商品を販売、加工、修理補修または

輸入を行う法人あるいは個人が納税義務者


物品の販売、役務の提供、海外からモノを

輸入する際に発生する税金

17%

(ただし農業関連の肥料や農薬など

一部品目は13%)

参考:JETRO

売上を確保するためには、これらの税を上乗せして価格を設定する必要があります。税率については、世界情勢や為替などによって変わってくるので、定期的に確認しましょう。

ポジティブリストを確認する

国務院が公開しているポジティブリスト(越境電子商務小売り輸入リスト)は、必ず確認しておきましょう。掲載されているものは、越境ECに関わる優遇措置(電商税)を受けられるため、企業の税負担が軽くなります。

2019年度のリストには乳製品、酒類、水産品、衣類、漢方薬酒、ゲーム機、顕微鏡、双眼鏡、天体望遠鏡、懐中電灯、ホチキスなど1,413種の税目の商品が含まれています。

ポジティブリストを確認する

画像引用:【原文】跨境电子商务零售进口商品清单(2019年版)(画像を一部抜粋)

リストに掲載されていない商品は一般貿易とみなされるため、関税などの税金が発生するので注意しましょう。

同じ商品でも日本と同様に中国で受け入れられるとは限らない

日本のECサイトでヒットしたからといって、必ずしも中国でも受け入れられるとはいえません。なぜなら、中国独自の歴史や文化、気候の特徴は日本と違うからです。例えば、日本では馴染みのある浴衣を中国で販売しても、地域によっては1年中気温が涼しいところもあるため、ヒットを生み出すのに苦労するかもしれません。また、年代や思想・宗教によっては日本を象徴するファッションが受け入れにくい場合もあります。

日本のニーズではなく、あくまでも中国のニーズに合った商品を提供するのが大切。そのために、日本での戦略にとらわれずにマーケティングをしていきましょう。

微信(WeChat)や微博(Weibo)の導入が必須

中国のECサイトでは、チャットで顧客対応をするのが一般的。顧客とのやり取りをスムーズにするためにも、中国で人気の微信(WeChat)や微博(Weibo)の導入が必須といえます。

また出店形態によりますが、チャットでは商品の問い合わせだけでなく、値引き交渉やクロスセルに関する駆け引きにも役立ちます。例えば、顧客からの値引き交渉に対応したり、出店者側が違う商品とのセット購入を進めることも可能です。

関連記事:クロスセルとは?メリット・デメリット、具体的方法を解説

モバイル決済の導入が必須

2021年のUnionPay(銀聯国際)の調査によると、日本人約54%がモバイル決済を保有しているのに対して、中国では86.0%とキャッシュレス決済が進んでいます

中国越境ECで導入するときにおすすめなのが、WeChat PayとAlipayです。WeChat Payは中国No.1シェアのメッセンジャーアプリWeChatに備わったスマホ決済で、ユーザーは9億人以上います。WeChatのアカウントと紐づけられており、QRコードのスキャンまたは提示で支払いをします。

Alipayは、アリババグループが提供するキャッシュレス決済システムで、淘宝(タオバオ)の決済手段として普及しました。2019年時点で12億人以上のユーザーが利用し、中国の決済額の54%をシェアしています。

独身の日、618商戦に向けてプロモーションをする

アリババグループの売り上げがとくに伸びるのは、毎年11月11日に開催される「独身の日」です。11月11日は中国で「光棍節(こうこんせつ)」と呼ばれており、パートナーのいない独身の人たちが集まってお祝いをする日とされています。この日に向けて、多くのショップが大規模なセールを実施するのが特徴です。

天猫国際の独身の日の売上高は年々拡大し、2021年11月11日の流通総額は9兆6,500億円でした。多くのユーザーがECサイトを利用するため、売上を伸ばすには独身の日に向けて戦略を立てることがおすすめです。

また、京東商城に出店を考えている方は、「618商戦」に向けた戦略を立てましょう。618商戦とは、京東商城が毎年6月18日に開催する中国最大のECセールの一つ。2022年の累計取引額は約7兆6,000億円でした。

多くの日本企業もセールに合わせて戦略を立てています。例えば、電子美容機器で有名なヤーマンは、天猫国際の独身の日セールで電子美容部門6年連続1位の売上を獲得。アスクルも独身の日に合わせて、天猫国際にLOHACOを出店しました。このように知名度を上げたり売上を確保するためには、これらのセールを活用した戦略を立てることが必要です。

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中国越境ECまとめ

本記事では中国越境ECについて、次のことをお伝えしてきました。

中国越境ECの主要モール
・中国の越境ECのサポートにおすすめの代行会社・物流会社
・中国のEC市場の特徴
・中国越境ECに関する注意点

中国EC市場は日本よりも利用者が多く、年々勢いを増しています。多くのユーザーに買ってもらえることを期待して安易に越境ECを始めると、中国で認知度をあげることは難しいといえます。

EC展開を始める前に、中国の物流や市場開拓の方法を把握しておくことが大切です。本記事を参考にして、中国越境ECに進出する手助けになれたら幸いです。記事を読んで内容が理解できても、自社だけで中国越境ECを展開することに自信がない・リソースが足りない方は、外注を検討してみましょう。

※「自社に合うEC事業戦略がいまいちわからない」「中国越境ECに強いサポート会社を紹介してほしい」という方はWeb幹事にお問合せください。目的、成果などをヒアリングした上で、貴社に最適なECサイトの運用方法について相談に乗ります。相談料・紹介料はいっさいかかりません。

コンサルタントのご紹介 Web幹事 コンサルタント 岩田真 岩田 Web制作会社を設立し、
3年間で上場企業を含む50社以上制作に携わらせていただきました。

様々なお客様のWeb制作を実際に行ってきましたので、
初心者の方でも安心してご相談ください!

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Q. 中国における越境ECの主要モールは?

主要モールの例として「天猫国際(T-MALLGLOBAL)」「天猫商城(Tmall.com)」等が挙げられます。それぞれの詳しい特徴は記事内で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

Q. 中国越境ECを選ぶ際のポイントは?

中国越境ECを選ぶ際のポイントとして「商品特有の注意事項をチェックする」「越境ECで発生する税金について理解する」等が挙げられます。詳しい選び方については記事をご覧ください。