ECサイトの改善。分析から集客・受注までの一連の施策フローのポイントを徹底解説【2024年最新版】

ECサイトの改善

ECサイトの改善と聞いて何を思い浮かべますか?

ECサイトのデザインを変えることでしょうか。それとも サイト内の導線を見直すことでしょうか。
実は売上げの向上につながる全ての取り組みが「ECサイトの改善」という一言に集約されてます。

特に、化粧品や健康食品といった飽和状態の市場に戦いを挑むEC事業者は、1件の顧客を獲得するために要する広告費(CPA:Cost Per Acquisition)を削減する取り組みや、サイトへのアクセス数に対して受注に至った割合(CVR:Conversion Rate)を最大限に高める施策が成功と失敗を分ける鍵となります。

そのための施策の一つがECサイトのデザイン変更であり、販売ページの導線の見直しなのです。

今回は、売上げの向上に必要不可欠なCPAの削減やCVRを向上させるための基礎知識、KPIの設計方法までECサイトの改善に必要な一連の施策フローについて説明します。

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関連記事:ECの運営代行・サポートに強い優良会社5社をプロが厳選!

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目次
  1. 1. ECサイトの改善の流れとは?
    1. 1-1. ECサイトの改善に必要な基礎知識
    2. 1-2. 損益分岐点の算出方法
    3. 1-3. KPIの設定方法
    4. 1-4. 効果測定の実施方法
    5. 1-5. VOCとUGCの吸い上げ
  2. 2. 販売力を高めるLPの作り方
    1. 2-1. LP制作に必要な基本的な要素
    2. 2-2. LPで販売力を高める要素
    3. 2-3. ヒートマップによる効果測定を
  3. 3. オススメのヒートマップとA/Bテストツール
    1. 3-1. Google Analytics (無償)
    2. 3-2. MIERUCA(無償)
    3. 3-3. Visual Website Optimizer (有償)
  4. 4. ECサイトの改善まとめ
    1. 4-1. ECサイトの改善をプロに任せたい方へ

ECサイトの改善の流れとは?

昨今、EC業界ではD2Cと呼ばれる販売形態が注目を集めています。
D2Cとは、Direct to Customer。
つまり、一般消費者へ商品を販売する「BtoC」の考え方の一つです。

従来のBtoCと異なるのは、中間にAmazonや楽天市場など大手のECプラットフォームを介さずに直接販売する点です。
ECプラットフォームは、絶大な集客力はあるものの、EC事業者独自の施策が行いにくく、個人情報の利用範囲も限られているため、顧客の囲い込みがボトルネックとなります。

一方で、D2Cは自社でECサイトを制作し集客まで行うため、正しい施策を行えば、顧客を強力に囲い込むことが可能です。
特に多くのD2Cモデルを採用するECサイトは「単品リピート通販」と呼ばれる定期販売を活用した販売手法で売上げを伸ばしています。

単品リピート通販は、商品の訴求から販売まで1ページのみで完結させるLPと呼ばれるページ設計により行われるため、大規模なシステムを必要とせず、イニシャルコストを抑えることが可能。

この記事ではD2CモデルのEC事業者で、単品リピート通販を採用するECサイトの改善フローを中心にご説明します。

ECサイトの改善に必要な基礎知識

ECサイトの改善にあたって、LPのデザイン改善から取り組むEC事業者は少なくありませんが、LPのデザインはあくまで改善すべき要素の一つです。

集客のための広告からLPの訴求内容、購入フォームの最適化(EFO:Entry Form Optimization)、受注後のCRMまで、顧客が広告で商品と出会い、LPで理解を深め、そして購入。
購入した後のフォローまですべてを改善する必要があります。

これらのすべての導線で効果測定を行い、ボトルネックがあれば、改善していくことがECサイトで利益を最大化するために必要な考え方です。

具体的には、ECサイトの立ち上げから改善までの一連のフローは、以下の流れとなります。

ECサイトの改善のフロー

  1. 集客に必要な広告コストの調査と損益分岐点の算出
  2. KPIの設定
  3. 広告の運用を開始
  4. CPAとCVR、LTVを算出
  5. CPA、CVR、LTVの数値を元にボトルネックを洗い出す
  6. ボトルネックを改善し再度③から実施

※ LTVとは、顧客1名から得られた売上総額のことです。

以上の通り、CPAやCVR、LTVの各数値を元に、あらかじめ設定したKPIに到達するまでボトルネックを改善し続けることが必要です。

例えば、CPAが高すぎて利益を圧迫する場合は、広告媒体の見直しを行う。
CVRが低い場合は、LPのA/Bテストを実施し、最適な訴求内容やデザインに刷新する。
LTVが低い場合は、CRMの見直しや継続購入しやすい価格設定にする・・・。
あらゆる角度から改善を行います。

いわゆるPDCAを回し続けることで、利益を最大化することが可能になります。

損益分岐点の算出方法

では、前項の一連のフローの1つ1つを分解してご説明しましょう。
損益分岐点とは、利益がコストを上回る閾値のことです。

単品リピート通販の場合は、広告を大量に出稿し、単一ページ構成のLPへ送客をするため、非常にコストがかかります。

運営を開始したばかりのEC事業者の場合、広告費が利益を上回り、赤字の状態からはじまることが一般的です。しかし、単品リピート通販は定期販売の販売モデルとなるため、顧客1人当たりのLTVを最大化すれば、最終的には利益がコストを上回ります。

利益がコストを上回る。損益分岐点を突破すれば、ECサイトとして成功したことになります。

一方で、EC事業をスタートしたばかりの企業にとって、あらかじめ損益分岐点の目標額をどのように算出すべきか悩むところでしょう。
そこで重要になるのが、商品価格とECサイトのコストの内訳を正しく理解することです。

3000円のサプリメントの販売を例にご説明します。
商品原価が500円であった場合、1商品を販売するごとに2500円の粗利となりますが、ECのコストはこれだけではなく、以下のようなコストも発生します。

ECにおけるコスト

  • 商品原価
  • 送料や出荷手数料(倉庫へ委託した場合)
  • 広告費
  • コールセンターの運営費用
  • LPの制作費
  • カートシステムの維持費
  • 運営スタッフの人件費

少なく見積もっても、これだけのコストが必要になります。

特に「広告」や「出荷」に関わるコストは、顧客1人の獲得、商品1個の発送ごとに発生するため、全体のコストのうち大きな割合を占めるものです。

出荷に必要なコストは業務委託をしている倉庫の料金表で算出可能ですが、広告費は、出稿媒体や市場の動向により常に変動するため算出することが困難です。
広告会社やコンサルタントなど、広告費用の算出に知見のある協力会社へ依頼し、事前に見積もりをもらうようにしましょう。

これらのコストを合計すると、顧客1人の獲得に要するCPAは最低でも1万円以上になるはずです。3000円の商品を1人の顧客へ販売するために単純計算で7000円の損失が発生する計算です。

そこで、単品リピート通販では定期販売の仕組みを利用し、毎月顧客へ商品を届けることで、損益分岐点の突破を目指します。

初回の獲得では7000円の損失になりましたが、2回目の販売時は、広告費が必要なくなるため、コストが大幅に下がります。必要な費用は、出荷手数料と商品原価と諸経費だけになるからです。

送料を含めた出荷手数料が600円で、商品原価が500円の場合、

3000円-(出荷費用600+原価500)=1900円

定期販売2回目以降は1900円の利益が出る計算になります。

合計すると、顧客1人に対して平均5回販売できれば、損益分岐点を超える計算になります。
この緻密な計算が出来てこそ利益を出すためのプランが作れるのです。

KPIの設定方法

次にKPIです。
もちろん、最終的に損益分岐点を超えることがKPIになりますが、1人の顧客に平均5回販売することは非常に困難です。

そこで、あらゆるコストに対してKPIを設定していきます。

例えば、広告費を削減できれば、総コスト10000円の壁を下げることができますし、出荷手数料を下げることもKPIになるでしょう。
その他の費用としては、コールセンターの平均応対時間にKPIを設け、応対時間を短縮することでオペレータの人件費の削減にもつながります。

当然、顧客の定期継続率に対してもKPIを設定し、コストを安く抑え1人の顧客から得られる利益を引き上げる工夫も必要です。
あらゆるコストや指標にKPIを設定し、それを達成することで、早期に損益分岐点を突破することが可能になります。

効果測定の実施方法

次に効果測定の方法について効果測定は、CPA、CVR、LTVの他に、顧客満足度といった数値化しにくいものに対しても行います。

よく行われる効果測定の実施方法についてご説明します。

CPAの算出方法

CPAは、顧客1人の獲得に要した広告費で、出稿媒体や市場動向により異なるため非常に算出が難しい指標です。
具体的には、以下のように計算します。

CPA = 広告費の総合計 ÷ 受注数(CV数)

適切な広告媒体を選ぶことがCPAを算出する目的となるため、出稿している広告媒体毎にCPAを計算し、もっともCPAが安くなる広告媒体を取捨選択していきます。

CVRの算出方法

次にCVRはECサイトの改善で最も重要な指標であり、CPAやLTVとも密接に関連する数値です。
CVRの計算方法は以下の通りです。

CVR = LPへの総アクセス数 ÷ 受注数(CV数)

CVRの計算方法は簡単ですが、分析方法は注意が必要です。
なぜなら、CVRが低い原因は、商品に魅力がない、広告での訴求方法が誤っている、LPのキャッチコピーが魅力的ではない、などあらゆる可能性が考えられるためです。

以下は、CVRがKPIに達しない場合の主なチェックポイントです。

  • 出稿している広告媒体は適切か?
  • LPの訴求は分かりやすいか?
  • LPのデザインはターゲット顧客に適しているか?
  • 購入フォームは入力しやすいか?
  • 価格は適切か?

他にもCVRを下げる原因になる要素はありますが、上記のチェックポイントの1つ1つを検証していきます。

例えば、LPの訴求やデザインが原因でCVRが下がっている場合は、LPを複数制作し、A/Bテストを実施します。
Google Analyticsを利用し、どのLPページのCVRがもっとも高いかを検証するとともに、ヒートマップを導入し、顧客がLPのどの部分で離脱しているのかも計測します。

これらのテストを実施することで、LPのデザインや訴求方法、入力フォームの最適化を実施することが可能です。

広告面の見直し

しばしば、CVRと広告に関連があることに気が付かない方がいますが、例えば、20代向け商品に対して40代向けの媒体に広告出稿した場合、当然、ターゲット層が異なるためCVRは下がります。

また、リスティング広告やSNS広告の場合、キーワード設定や単価設定によっては適切なターゲットへ広告が表示されない場合もあります。

比較的精度が高いといわれるアフィリエイト広告の場合でも、アフィリエイターの記事次第で十分に商品の魅力が伝わらなければ、顧客がLPへアクセスしても期待値と実際の商品が異なることで離脱につながりCVRを下げてしまいます。

つまり、広告の段階で適切な訴求ができなければ、顧客に対して誤った期待をさせてしまうため、CVRを下げる要因になるのです。

無駄な広告費になるだけでなく、CPAが上昇するため、すぐに広告媒体の見直しが必要です。

広告媒体の効果測定を図るには、株式会社ロックオンが発売するAD EBiSや、株式会社ビービットのWebAntennaなど、広告枠やクリエイティブごとに測定ができる専門の効果測定ツールを利用しましょう。

また、一部のECカートは、LPのURLにアドコードを含むことができるため、広告媒体毎のCVRを測定することができます。
これからECカートの導入を行う場合は、広告媒体の効果測定が行えるものを選ぶとよいでしょう。

LTVの算出方法

次にLTVです。
LTVとはライフタイムバリューの略であり、顧客1人に対して販売できた金額の総額を平均値で求めた数値指標です。
LTVが高いほどコストに対する利幅が多いため、単品リピート通販では最も重視される数値です。

LTVの計算方法は、

LTV = 全顧客の平均購入単価 × 平均購入回数

です。

LTVは顧客満足度が現れやすい数値であり、損益分岐点を突破するためには最も重要な指標です。
さらに、顧客が広告やLPの内容から受けた期待値と、実際に商品を手に取り、受けた印象の乖離が大きい場合もLTVは下がります。

つまり、LTVを向上させるためには商品を販売した後も顧客の期待を裏切らない工夫が必要です。
そのために行うのが、CRM(Customer Relationship Management)です。

例えばステップメールを使った手厚いコミュニケーションや、同梱物など、商品だけでなく、商品以外のチラシやパンフレットも含めたあらゆる方法で顧客満足度を引き上げる施策です。

LTVの効果測定には、CRMツールに付属している分析機能を使用することが一般的です。
株式会社プラスアルファ・コンサルティングのCustomerRingsや株式会社E-Grantのうちでのこづちなどが有名です。

これらのツールを使い、LTVの効果測定と、商品や広告の見直しなどを行っていきましょう。

VOCとUGCの吸い上げ

もちろん、CPAやCVR、LTVなどの数値分析だけでなく、コールセンターに入電したお客様の声(VOC:Voice of Customer)や、顧客がSNSに自発的に投稿したコメント(UGC:User Generated Content)を分析することで、自社のECサイトや商品、サービスがどのように評価されているかを知ることも大切です。

これら効果測定の結果を集約し、商品や出稿する広告媒体。クリエイティブ。LPの構成やデザインなど、あらゆるボトルネックを改善しつづけることが「ECサイトの改善」であり、売上を向上させるために必要なことです。

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販売力を高めるLPの作り方

売上げ向上のために、広告からLP、そして販売をした後のLTVの向上などあらゆる数値にKPIを設定し、常に効果測定を実施し改善を繰り返すことで、最終的に利益がでるECサイトに仕上げる方法をご説明しました。

次に、LPの改善方法について見ていきましょう。ECサイトの改善とは、広告からLP、そして販売をした後のCRMまで一気通貫で改善することを指します。

しかし、改善コストが高いのがLPです。LPは単体のページではありますが、ウェブ制作会社に依頼をしたうえで制作を行う必要があるため、時間と資金の両面で負担が大きいです。

また、中には、ECに精通していないウェブ制作会社もあり、 発注者であるEC事業者側も適切な指示ができなければ、結果的にCVRが低い、「売れないサイト」が完成してしまう場合があります。

そこで、ウェブ制作会社へ依頼する前に、基本的な知識を身につけることをオススメします。

LP制作に必要な基本的な要素

一般的に「売れている」ECサイトのLPは、以下の構成で作成されています。

  1. ファーストビュー
  2. 問題提起(共感)
  3. サービス紹介
  4. ベネフィットの提案
  5. 権威付け
  6. 購入アクション

売れるLPは、上記の要素が縦方向に順序立てて構成されています。
この順序を完全に理解できれば、広告で集めたお客様を着実に販売へ導くことができます。

逆に、売れないLPはこの構成から逸脱しているか、①~⑥のどれかが欠けているはずです。
一つ一つの要素を見ていきましょう。

ファーストビュー

ファーストビューとは、顧客がLPへアクセスした時に最初に目にする画面のことで、LPの最上部に位置するデザインです。
LPの中で、最も重要な要素と言われており、およそ3秒以内に、「商品の特徴」「商品の信頼性」「お客様にとってのメリット」が伝わらなければ、お客様はほぼ確実に離脱します。

制作にあたり、以下の要素を盛り込むことが必要です。

  • 商品の使用感をイメージさせる人物画像を配置する
  • 楽天やアマゾンの売上げランキング、モンドセレクションなどの権威性を示すバッジを掲示する
  • 他の商品と何が違うのか一言で分かるキャッチコピーを配置する

上記の項目がお客様に伝われば、お客様は商品に対して興味を持ち、画面をスクロールして購入するかどうかを検討します。

問題提起(共感)

問題提起とはお客様が自身の悩みに対して「分かる分かる!」と、共感を覚える部分のことです。
通常、お客様は自分の悩みに対して漠然とした課題は感じていても、具体的にどんな悩みなのかを認識している人は少ないものです。

例えば、「毛穴の黒ずみに悩む」お客様を例にご説明します。
乾燥肌で肌に潤いがなくなれば、新陳代謝が促進されず、肌の黒ずみや毛穴の開きなど、様々な肌トラブルの原因になると言われていますが、 乾燥肌が黒ずみの原因になることに気がつかないお客様は多いものです。

LPの「問題提起」とは、まだ、お客様が気がついていない悩みを改めて気がつかせ、「分かる!分かる!」と共感をしてもらう箇所になります。

ファーストビューで商品に興味をもったお客様が画面をスクロールし、自分の本質的な悩みに気がつき、そして共感を感じることで、さらに商品に対する興味を強くすることができます。

サービス紹介

サービス紹介とは、商品の詳細な説明や、定期販売の仕組み、販売価格など、一般的なECサイトで記載されている商品紹介部分のことです。
LPではファーストビュー、共感性を配置した後にはじめて商品の具体的な説明に入るのが一般的。

売れないECサイトのLPの多くは、ファーストビューなど、LPの上部に商品説明を記載していることが多く、それが売れない原因です。

例えば、食品や日用品など、日常的に消費する商品は段階を踏んで販売をする必要はありません。楽天やアマゾンのように整然と商品を並べてアクセスを集めれば、商品は自動的に売れます。

しかし、D2Cの単品リピート通販では、必然的に高額の商品を一種類に絞って販売するため、お客様の購入意欲は高くありません。食品や日用品とは異なり、必需品ではないからです。

サービス紹介を上部に記載してしまうと、お客様は「必要のない商品を売りつけられている」と感じてしまい、販売につながらないのです。

そこで、ファーストビューで商品に興味をもたせ、共感性でお客様の悩みに寄り添い、その先にサービス紹介をすることで、お客様ははじめて商品を購入するかどうかを検討します。

ベネフィット

ベネフィットとは、 商品の優位性のことで、他の商品と比べて、どこがどのように優れているかを表現する箇所です。

ファーストビューや共感性、そしてサービス紹介まで読まれたお客様は、購入を前向きに検討している段階になっています。

しかし、他に「もっと安い商品があるかもしれない」「さらに自分にあった商品が見つかるかもしれない」など、「買ってみたいが損をしたくない」心理が働くのが、この部分です。

そこで、サービス紹介の後に、商品の優位性をアピールすることで、お客様の「損をしたくない」不安な気持ちを取り除いてあげます。

例えば、「日本で唯一の素材を使用した商品」「すでに販売実績が○万件を突破」「特許を取得した技術が使われている」など、他の商品では手に入れることができないオリジナルな商品であることをアピールしましょう。

権威付け

権威付けとは、医師や評論家、有名人。その他、SNSの書き込みなど、第三者の言葉で、この商品の優位性を語る部分です。

前の項目で他の商品よりも優れている「ベネフィット」を説明しました。
しかし、お客様はECサイトが、どれほどオリジナルな商品だと説明しても完全に信じることはありません。お客様にとってLPは「広告」の1つに過ぎないからです。

そこで、第三者の言葉を使って、「○○さんも良いと言っている」という記載を行います。
化粧品や医薬部外品の場合は、医師や芸能人のコメント付きの写真を掲載することも想定できますし、最近では、SNSのユーザの声を掲載することでLPに権威付けを行う例が増えました。

権威付けとは一種の口コミであり、購入を迷っているお客様の背中を最後に押してあげる非常に大切な要素なのです。

購入アクション

購入アクションとは、購入フォームや、購入フォームのリンクボタンのことで、ファーストビュー、共感、サービス紹介、ベネフィット、権威付けと読み込んだお客様が、実際に購入手続きをする箇所であり、ここまでたどり着いたお客様の購入意欲は十分に高くなっているはずです。

その際「購入フォームの簡素化」には注意が必要です。

購入フォームで入力する項目が多かったり、支払い方法が限られていると、せっかく購入を決意したお客様も途中で手続きが面倒になってしまい、購入を断念してしまうことがあります。

そのため、購入フォーム最適化(EFO)を行い、もっとも簡単な入力手続きで購入を完了させる必要があります。

さらに、支払い方法にクレジットカードしか用意されていない場合、お客様は財布からクレジットカードを取り出して購入フォームに入力しなければいけません。

しかし、はじめてアクセスするサイトにクレジットカードを入力することに抵抗を感じる方もいますし、クレジットカードを持っていない場合、支払い方法で購入を断念するケースもあります。

購入フォームを最適化する場合、入力項目は極力少なく、支払い方法は最大限に増やすのが良いと言われています。

LPで販売力を高める要素

商品を売るためのLPの基本的な構成をお話してきましたが、他にも最適化すべき箇所があります。

CTAボタンの配置

CTAボタンとは、LPの途中に配置する購入フォームへ直接ジャンプするためのボタンのことで、例えば「今すぐ購入する」「定期コースで申し込む」と書かれたボタンを指します。

LPはファーストビューからアクションまで段階を踏んで商品を紹介していく必要性があることはご説明しましたが、お客様により、LPの途中の段階で購入を決意する方もいます。

そこで、LPの随所にCTAボタンを配置することで、お客様が購入を決断したタイミングで購入フォームへ誘導し、購入手続きをさせます。

最適化されたLPでは、以下の箇所にCTAボタンが配置されていることが多いです。

  • ファーストビューの下
  • サービス紹介の下
  • ベネフィットの下
  • 権威付けの下

しばしば、ファーストビューの下にCTAボタンを配置していないLPをみかけますが、例えば、アフィリエイトやメディアに広告を出稿する場合、お客様はこれらのメディア媒体で商品に対して十分に理解をしているケースが多く、LPにアクセスした段階ですでに購入意欲が高い場合があります。

このようなお客様は、改めてLPで商品の魅力を伝える必要がなく、逆に購入フォームまでの導線が長いと、離脱する危険性があります。そこで確実に購入に結びつけるために、ファーストビューの直下に購入フォームへのCTAボタンを設置します。

また、先ほど説明したLPの構成は、あくまでも最後まで購入意思を固められないお客様を購入フォームに導くための構成でした。
中にはLPの途中の段階で購入したいと感じるお客様も存在します。そのようなお客様に対しては、購入意思を固めた段階ですぐに購入フォームへ誘導しなければ離脱してしまいます。

そのため、LPの各要素毎にCTAボタンを配置し、購入したいと思った段階ですぐに購入手続きへ進んでいただく導線が必要なのです。

CTAボタンの色やデザイン

LPの改善を行う場合、LP自体のデザインや構成の見直しも必要ですが、見落としがちな箇所はCTA ボタンのデザインです。

一般的にCTAボタンは緑色が大半です。
CTAボタンを緑色にすると、もっともクリックされやすいと言われているためで、赤や青よりも緑に変更するだけでCVRが伸びることは統計的にも判明している事実です。

デザイン性にこだわるあまり、CTAボタンを黒や白、中間色で配色してしまうECサイトがありますが、配色を誤ったために、CVRが伸び悩むことがありますので、注意が必要です。

また、ボタン上に配置する単語もCVRを伸ばす要素の一つです。

ボタン上に記載する以下の言葉を比較すると分かりやすいでしょう。

①購入する
②980円でお試し購入する

上記の①と②のボタンのどちらがクリックされやすいかは一目瞭然ですね。

当然、②の方がCVRの向上に寄与します。購入のメリットが伝わりやすいからです。
ボタンの色や単語の1つ1つを改善していくことで結果的にCVRを上昇させることにつながります。

LPの改善後はA/Bテストで効果測定を

以上の施策を1つ1つを改善することで、LPのCVRを上昇させることができます。

ただし、商品や販売方法により、どのようなキャッチコピーが良いのか。
CTAボタンの言葉は何がベストか・・・あらゆる要素は異なってきます。

そこで、LPの構成や基本的なデザインは同一でも、CTAボタンの言葉やLPのキャッチコピーを変えた複数のLPを用意しA/Bテストを実施します。

A/Bテストにより、もっともCVRが高い訴求方法を追求していくことで最適なLPが何かを導き出していくことが大切です。

ヒートマップによる効果測定を

ただし、複数のLPを用意し、CVRを比較するだけではLPのどの部分でお客様が購入を決断したか。
あるいは、購入を断念したかわかりません。
CVRはあくまでLP全体に対しての販売力を計測するための指標です。
LPのどの部分で購入を決意し、あるいは断念したかは計測することができません。

そこで、導入するのがヒートマップです。

ヒートマップは、LP上のどの部分が重点的に閲覧されたのか、または、どの部分で離脱したのかをビジュアルで直感的に表示できるツールです。

LPのうち、もっとも閲覧された箇所は赤色で、閲覧されなかった箇所は青色で表示されます。
つまり、青色の箇所はお客様が閲覧していない箇所であり、例えばインパクトのある画像を配置するなど、改善をすべき箇所となるのです。

商品の価格に関連する箇所であれば、お客様は価格設定で購入を決定していることが分かりますし、ファーストビューの場合は、そもそもLPを表示した瞬間に離脱しているお客様が多いわけなので、ファーストビューの訴求方法に問題があるか、広告で集客したお客様と商品のターゲティングがマッチしていない可能性が考えられます。

LPのどこを改善すべきか。
そもそも、集客を改善すべきではないのか?

A/Bテストの結果と合わせてボトルネックになる箇所を洗い出し、1つ1つの要素を改善していくことで売上げを最大化しましょう。

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オススメのヒートマップとA/Bテストツール

効果測定の重要性や、効果測定にヒートマップやA/Bテストが有効ですが、どのようなツールを使えばよいのか分からない方も多いでしょう。

以下に人気のヒートマップやA/Bテストツールをご紹介します。

Google Analytics (無償)

Googleアナリティクス

https://marketingplatform.google.com/intl/ja/about/analytics/

Google Analyticsは一般的に、アクセス解析ツールと思われがちです。
しかし、使い方により、効果測定を無料で行える優れたツールです。

LPごとに効果測定を行う場合、アクセス数に対して、コンバージョン(販売)に至った数を計測することで、もっとも売れたLPを導き出します。

Google Analyticsの使い方としては、各LPに計測用のビーコンタグを設置しLPごとのアクセス数を計測します。次に購入完了ボタンにイベント計測用のビーコンタグを設置することで、何件販売に至ったのかを計測できます。アクセス数に対して、購入完了ボタンがクリックされた数を割ることで、CVRを計測するのです。

関連記事:【入門版】Googleアナリティクスの設定方法&使い方

MIERUCA(無償)

オウンドメディアの改善ツール_MIERUCA

https://mieru-ca.com/

月間PV数が1万PVまでなら無償で利用できるヒートマップツールです。

スクロールヒートマップ、クリックヒートマップ、アテンションヒートマップなど、様々なヒートマップが利用できる点が魅力で、最近の主流であるスマートフォンにも完全対応しています。

ただし、LPごとのCVRを計測したい場合は、他のツールと組み合わせる必要があるため、Google AnalyticsでCVRを計測し、LPのデザインや訴求面の改善にMIERUCAのヒートマップを組み合わせるといった使い分けをするとよいでしょう。

立ち上げ直後で、アクセス数が少ない場合は、Google AnalyticsとMIERUCAを組み合わせるだけで 、コストをかけずにLPの効果測定を行うECサイトは少なくありません。

Visual Website Optimizer (有償)

Visual Website Optimizer

https://www.assion.co.jp/lp/05b/

Visual Website Optimizerは、大手企業を含めて6000社以上の導入実績があるA/Bテストに特化した分析ツールです。

ページ毎のCVRを計測できるほか、ヒートマップやマウスのトラッキングツールを実装し、必要な効果測定はほとんどVWOで実施できる点が魅力です。

特に時間帯や顧客属性を組み合わせて分析できる点が秀逸であり、顧客のターゲティングが正確にできているかなど、広告からLPまでの導線の問題点まで洗い出すことができます。

有償ではありますが、立ち上げたばかりのECサイトは導入した方がよいツールの一つです。

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ECサイトの改善まとめ

大手ショッピングモールを通さずに自社のECサイトを立ち上げて販売するD2C型のECサイトでは、単品リピート通販と呼ばれる販売手法が主流です。

単品リピート通販では、お客様に単一のページで商品の売り込みを図るため、A/Bテストを繰り返し、LPを常に改善する必要があります。

ただし、LPの改善とはLPのデザインを修正すれば良いわけでなく、広告から販売。
そして販売後のフォローまで一気通貫した改善が必要となります。

LPの制作など外部化できるところは外部化しつつ、特に効果測定に関係する箇所は専任の担当者を配置したり、コンサルタントと契約し協力を仰ぐなど、万全の体制で望む方が良いでしょう。

今回、ご説明したことを参考に売上げ向上に役立てていただければと思います。

ECサイトの改善をプロに任せたい方へ

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Q. ECサイトを改善する際の業務フローは?

ECサイトを改善する業務フローとして「?集客に必要な広告コストの調査・損益分岐点の算出」「?KPIの設定」「?広告の運用を開始」「?CPAとCVR、LTVを算出」「?CPA、CVR、LTVの数値を元にボトルネックを洗い出す」「?ボトルネックを改善し、再度?から実施」が挙げられます。

Q. ECサイト運用で発生する経費は?

ECサイト「商品原価・送料・出荷手数料(倉庫へ委託した場合)」「カートシステムの維持費・運営スタッフの人件費」等が挙げられます。詳しくは記事をご覧ください。