多言語サイトの作り方を徹底解説!基本手順から海外SEO・成功事例まで
企業の海外進出やインバウンド需要の拡大に伴い、多言語サイトの重要性が高まっています。海外の顧客に向けた商品展開やサービス提供を視野に入れた際、言語の壁を越えて正確な情報を届けるWeb上の基盤は欠かせない要素と言えるでしょう。
この記事では、自社サイトの多言語化を検討されている担当者に向けて、具体的な多言語サイトの作り方の手順やおすすめの構築システムを詳しく解説します。失敗を防ぐための注意点や費用の相場といった、発注前に押さえておきたい実務的な情報も網羅的にまとめました。
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多言語サイトとは?仕組みと基本知識
多言語サイトとは、自国語を含む複数の言語でコンテンツを閲覧できるWebサイトを指します。
グローバル展開を行う企業のコーポレートサイトや、言語を切り替えて買い物ができる越境ECサイトなどが代表的な例です。
この仕組みは、ブラウザの自動翻訳機能に依存するものではありません。あらかじめ言語ごとに独立した翻訳済みページを用意し、アクセスしたユーザーの使用言語に合わせて適切なページを表示させます。検索エンジンに対しても各言語のページが個別に認識されるため、海外の検索結果で上位表示を狙うSEOの観点からも適した構成です。
日本語で50ページのサイトを英語と中国語に対応させる場合、単純計算で100ページ分の外国語ページを新たに追加制作する形になります。
多言語サイトに適したURL・ドメイン構造
多言語サイトにおいて、言語の数だけページを追加するとサイト構造が複雑化するため、言語ごとにURLやドメインを分離して管理する手法が取られます。以下、SEOの観点から推奨される3つの管理方法を比較していきます。
国別コードトップレベルドメイン
日本なら「.jp」、フランスなら「.fr」のように、特定の国や地域に割り当てられたドメインです。
ターゲットとする国の検索エンジンで高く評価されやすい利点があります。ドメインが異なるため言語ごとに独立したサイト管理が必要になり、幅広い英語圏を対象にするようなケースには向いていません。
サブドメイン
取得済みのドメインの前に文字列を追加する形式です。当サイトであれば、「web-kanji.com」の前に「en.」を付けた「en.web-kanji.com」のように設定します。メインドメインから派生したサイトを作成できますが、個別の言語ごとにサイト管理の手間が発生することに注意が必要です。
サブディレクトリ(web-kanji.com/en)
既存ドメインの下層に言語ごとの階層を作成する形式です。「web-kanji.com/en/」のように設定します。 ドメインを変更せずに複数言語のページを追加でき、サイトの管理を一元化できます。
画像出典:Apple
リンク評価の分散を防げるという考え方から、一般的なコーポレートサイトの多言語化においては、サブディレクトリが推奨される傾向にあります。
多言語サイトを制作するメリット
Webサイトの多言語化は、企業に新たな事業展開の可能性をもたらします。具体的なメリットを3つの視点から解説します。
海外でのビジネスチャンスが生まれる
海外のユーザーに向けて現地の言語でWebサイトを展開すれば、自社の商品やサービス内容をより正確に理解してもらえます。
言葉の壁を取り払ってターゲットに価値が正しく伝われば、現地の検索エンジンを経由したアクセスが増え、企業やブランドの認知度も自然と高まるでしょう。こうした認知の広がりが新たな市場の開拓に直結し、越境ECを通じた商品販売や海外企業との新規取引といった、具体的なビジネスチャンスの拡大に繋がります。
インバウンドの集客が期待できる
国内の実店舗やサービス業において、インバウンドの集客力強化にも貢献します。
訪日外国人数は2025年度に4,268万人を突破するなど、インバウンド市場は年々拡大傾向にあります。多言語サイトを用意しておくことで、旅行前の情報収集や滞在中の検索に対応可能。現地の言葉でメニューやサービス内容、予約方法を案内できれば、旅行者の来店や直接予約なども獲得しやすくなるでしょう。
自社のブランディングに役立つ
自社サイトを多言語化して複数の言語で情報を発信する体制を整えれば、企業自体のブランド価値を高めることにもつながります。
言語の壁を越えて幅広く情報を届ける姿勢を示すことで、「グローバル基準で事業を展開する企業」としての確かな信頼感を得やすくなるでしょう。
こうした取り組みは海外市場へのアピールにとどまらず、国内のユーザーや取引先に対しても「国際的な視野を持つ先進的な企業」というポジティブな印象を持ってもらえます。多方面からの評価を上げ、競合他社との差別化を図るためにも有効な手段と言えます。
多言語サイトの作り方:6つの基本手順を解説
多言語サイトを構築する際の全体的なワークフローを、6つのステップに分けて解説します。
大前提としてベースとなる日本語サイトが存在し、そこから外国語ページを展開していく手順となります。この基本的な流れを把握しておくことは、制作会社へ依頼する際の要件定義をスムーズに進める上でも役立ちます。
Step1. 対象とする言語とコンテンツの選定
サイトを多言語化する目的と照らし合わせ、対応する言語と翻訳するコンテンツを選定します。
ターゲットとなる国や地域の市場を調査し、需要が見込める言語へ絞り込みます。日本語サイトの全ページを翻訳する必要はありません。「実店舗へのインバウンド集客」や「海外企業とのB2B取引」など、自社の目的に応じて優先順位をつけ、必要なコンテンツのみを翻訳対象とすることで制作にかかる時間とコストを抑えられます。
Step2. Webコンテンツの翻訳とローカライズ
対象コンテンツを選定した後は、各言語への翻訳作業に入ります。
近年はDeepLやGoogle翻訳などの機械翻訳の精度が向上していますが、単なる直訳では不自然な表現になるケースが多々あります。現地のニュアンスや文化に合わせ、コンテンツをローカライズすることで、ターゲット層に正しく意図が伝わるコンテンツになります。
高品質な翻訳を実現するためには、翻訳会社や専門の翻訳家への依頼も視野に入れると良いでしょう。
Step3. サブディレクトリ等による外国語ページの作成
翻訳したテキストをもとに、実際の外国語ページをサイト上に構築します。
前述の通り、管理のしやすさやSEOの観点から「サブディレクトリ」形式の採用が一般的です。
「en(英語)」「de(ドイツ語)」「zh(中国語)」といった対応言語ごとのディレクトリを作成し、その配下に翻訳済みのWebページを配置していきます。
Step4. カテゴリとパーマリンクの最適化設定
外国語ページの階層構造をわかりやすく整理するため、カテゴリとパーマリンク(個別のURL)を設定します。
日本語ページと同じ内容であっても、URLには対象言語の単語を用いた意味のある文字列を割り当てます。 たとえば、日本語の「cmsの機能」に関するページなら、英語ページのURLは「web-kanji.com/en/posts/cms-function」のように設定します。
ユーザーがURLからページ内容を推測できるようになり、結果的に検索エンジンからの評価向上とユーザビリティの改善につながります
Step5. headタグ(hreflang属性など)のメタタグ書き換え
海外向けSEOにおいて欠かせない設定が、headタグ内のメタタグ情報の書き換えです。
HTMLのheadタグ内にある言語指定を、日本語の「html lang="ja"」から言語に合わせて「en」や「de」などと変更します。
各言語ページ同士の関係性を検索エンジンに正しく伝えるため、「hreflang属性」を設定します。
英語ページであれば「link rel="alternate" hreflang="en" href="英語ページのURL"」と記述し、Googleに対して「このページは英語ユーザー向けである」という情報を正確に認識させましょう。
Step6. 外国語ページのXMLサイトマップ作成と登録
外国語ページの構築と各種設定が完了した後は、XMLサイトマップを作成して検索エンジンに通知します。
クローラーは世界中のWebサイトを自動で巡回していますが、新しいページを作成したからといって即座に認識されるわけではありません。言語別に作成したXMLサイトマップをGoogleサーチコンソールから送信することで、検索エンジンに新しいページの存在を早期に認識させることができます。
多言語サイト制作についてより詳しく知りたい方や、制作会社をお探しの方は、以下よりお気軽にお問い合わせください。
多言語サイトを構築するシステム・ツールの種類
CMSや専用ツールを活用することで、効率的に多言語サイトを構築できます。自社の予算、既存サイトのシステム環境、サイトの運用目的に合わせて最適な手法を選択しましょう。具体的な構築アプローチとして、代表的な4つの手法を解説します。
1. WordPress+多言語化プラグイン
現在運用しているWordPressのWebサイトを多言語化したい場合、「WPML」という専用のプラグインを導入するのが手軽かつ有効なアプローチです。システム全体を大幅に改修しなくても、
インストールするだけで複数言語の管理機能を実装できます。
WPMLは、Google翻訳やDeepLと連携した自動翻訳機能を利用可能。ほぼすべてのテーマに対応しつつ65もの言語をカバーしており、安定した動作環境でサイトを運用できるでしょう。
プラグインは手軽に多言語展開を進められる一方で、追加し過ぎるとサイトの表示速度が低下してしまうリスクがあることには注意が必要。また、利用中のテーマや他のプラグインと干渉しあう可能性もゼロではないため、事前の動作確認が欠かせません。
2. 多言語対応SaaS
「WIX」をはじめとするクラウド型のホームページ作成サービス(SaaS)を利用して、サイトを構築する選択肢もあります。 最初から多言語化の機能がシステムに組み込まれているため、
専門知識のない初心者でも直感的にサイトを制作・運用できる点が特徴です。
WIXを利用する場合、「WIXマルチリンガル」を追加すれば180以上言語に対応したサイトを作成可能。編集画面から追加したい言語を選び、コンテンツを翻訳するだけのシンプルな操作で多言語化を進められます。
Google翻訳と連携した自動翻訳だけでなく手動での翻訳も選べるほか、有料プランを契約すれば独自ドメインを用いた本格的なビジネス運用も可能です。
多言語対応SaaSは手軽に多言語展開が叶うものの、あらかじめ決められたテンプレートの範囲内で制作を進める必要があります。独自の複雑なカスタマイズを加えたい企業にとっては、要件を満たしきれないケースがあることに注意が必要です。
3. 多言語越境EC対応SaaS
海外向けのオンライン販売を目的とする場合、多言語・多通貨に対応したEC専用SaaSの利用が最適解となります。 代表的なプラットフォームとして「Shopify」や「WIX Commerce」が挙げられます。
Shopifyは多言語運用を前提に設計されており、標準で最大20の言語に対応。さらに多種多様な翻訳アプリを活用することで、それ以上の言語への拡張や高度な自動翻訳機能などを柔軟に実装できます。 WIX Commerceはさらに多く、150の言語をカバーしています。
商圏となる国や地域の決済・配送要件をカバーしやすく、本格的な海外販売網の構築に適したシステムです。
4. 後付けの多言語化ツール
現在運用している既存のサイトシステム自体には手を加えず、クラウド型の多言語化ツールを後付けで導入する手法もあります。WebサイトのHTMLに専用のスクリプトを1行追加するだけで、サイト全体を翻訳して多言語で表示できるようになります。
クラウド型の多言語化ツールとして代表的なのが「WOVN.io」。WOVN.ioは45の言語に対応しており、ベースとなる日本語コンテンツが更新されると、それに合わせて多言語コンテンツも自動でアップデートされます。自動翻訳の修正や、システム上での高品質な人力翻訳への依頼も行えます。
大規模なシステムリニューアルを避けて初期費用を抑えたい場合や、頻繁に更新されるサイトの翻訳管理を効率化したい場面に適しているでしょう。
多言語サイト作成で失敗しないための重要ポイント
翻訳ツールや自作のみに頼る多言語サイト構築には、運用フェーズで予期せぬ落とし穴が潜んでいます。本格的なビジネス展開を視野に入れる場合、単なる言語の置き換えに留まらない専門的な視点が求められます。失敗を防ぐための具体的な注意点を解説します。
自動翻訳をそのまま使用せずプロのチェックを入れる
機械翻訳や無料プラグインによる直訳は、文脈を無視した不自然な表現になる傾向にあります。
意味が通じないだけでなく、誤訳によって企業やブランドの信頼を損なうリスクも考えられます。
そのようなリスクを防ぐためにも、プロの翻訳家による意訳や、現地のネイティブスピーカーによる最終チェックが不可欠。専門用語や業界特有の言い回しを正確に伝えるためにも、翻訳の質は妥協できないポイントとなります。
ユーザーが迷わない言語切り替えボタンの設置
サイトを訪れた外国人ユーザーがスムーズに自国語のページへ遷移できるよう、ヘッダーなどの直感的に分かりやすい位置に言語切り替えボタンを配置します。
ここで注意すべきはボタンの表記方法です。国旗のアイコンは、ユーザーの母語と必ずしも一致しません。「English」や「繁體中文」のように、現地の言語名でテキスト表記する形が基本となります。
改行・数字区切りなど現地の文化に合わせた地域化対応
日本語のテキストを外国語に翻訳すると、文字数や単語の長さが変化します。それに伴い、
予期せぬ改行やレイアウト崩れが発生する可能性があるため、言語ごとの微調整が必須となります。
テキストの長短だけでなく、日付の表記順、数字のカンマ区切り、ターゲット国で好まれる配色まで考慮します。現地の文化や慣習に寄り添うデザインのローカライズ対応が、ユーザーに受け入れられるサイト構築のカギとなるでしょう。
外国語ページのSEO対策とマーケティング施策の徹底
翻訳ページを公開しただけで、海外からのアクセスが自然に増えるわけではないことに注意が必要です。
ターゲット国で主流となっている検索エンジンのアルゴリズムを理解し、現地ユーザーが実際に検索するキーワードを調査した上で、各ページのコンテンツを最適化する必要があります。
多言語サイトで成功を納めるためには、現地の主要SNSを活用した情報発信やWeb広告の展開など、市場ニーズに合わせた継続的なマーケティング施策を継続的に実行していくことが重要です。
多言語サイト制作費用の相場
多言語サイトの制作費用相場は、500万~2,000万円と幅があります。これは、翻訳ページ数や制作にかかる工数・サイトデザイン・開発要件など条件により費用に差が出るからです。
翻訳するページ数が多ければ完成までに時間がかかり、費用は高くなります。サイトのデザインもテンプレートを使うと費用を抑えられますが、オリジナルのデザインにしたい場合は費用が高額になる傾向にあります。
自社サイトを多言語化するときには、予算内に収まる範囲でサイトデザインや開発要件を検討しましょう。
あなたのサイトを多言語化するにはいくらかかるのか、詳しい費用について知っておきたい方は「Web幹事」にお問い合わせください。オペレーターがヒアリングを通して、費用感やおすすめの翻訳可能なHP制作会社までご紹介可能です。
参考にしたい多言語サイトの成功事例
ここでは、実際にある多言語サイトを紹介します。
名古屋美商会
株式会社中部国際オークションの公式サイトを、多言語サイトへリニューアルした事例です。国外のユーザーが多いとのことで、日本語だけでなく英語・中国語を含めた3か国語で自由に言語の切り替えができる仕様に変更。
また国内ユーザーへの問い合わせフォームに加え、海外のユーザーも問い合わせがスムーズにできるようLINE・Webchatの2種類を問い合わせページ内に用意しています。シンプルなレイアウトのため、ターゲットが知りたい情報にアクセスしやすいサイトになりました。
iLabfe(Ishijima Lab Loves Finance & Engineering)
iLabfe(Ishijima Lab Loves Finance & Engineering)のサイトを多言語化した事例です。サイトの重要部分のみ、英語ページヘの変換ボタンを設置することで海外ユーザーからの閲覧にも対応しています。
https://web-kanji.com/works/8382
東京大学ドイツ・ヨーロッパ研究センター
東京大学ドイツ・ヨーロッパ研究センターのサイトを、スマートフォン対応を含めてリニューアルした事例です。日本語のほか、英語、ドイツ語に切り替えできるボタンを設置し、多言語化に対応しました。
https://web-kanji.com/works/3970
【まとめ】多言語サイト構築は要件定義とプロへの相談が鍵
多言語サイトを通じた海外へのビジネス展開やインバウンド集客を成功させるには、単なるテキストの翻訳に留まらない綿密な計画が求められます。
これまで解説してきた通り、多言語サイトで成功を納めるためには、ターゲット国に適したドメイン構造の設計、要件を満たすシステムの選定、現地の文化に寄り添ったローカライズ対応、そして各言語ページに対する技術的なSEO対策の徹底が大切です。
これら専門的な知見を自社のみで網羅することは難易度が高く、リソースの消耗にもつながりかねません。自社の事業目的を正しく世界へ発信し、目標とする成果を獲得するためには、要件定義の初期段階から豊富な実績を持つプロの制作会社へ相談し、方針を定めるのも有効な手段です。
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