起こしたくなくても起きてしまう炎上案件。
あるいはクライアントのモンスター化。
誰しもが耳を塞ぎたくなる言葉です。しかし、この世からなかなか無くならないのも事実。
なぜでしょうか?
筆者も正直に告白すると、Web制作のプロジェクトを一度炎上させてしまった経験があります。
もちろん悪気があったわけではありません。
じつはモンスター化するクライアントは性格が悪い人でもなければ、極悪人でもありません。
ごくごくふつうの善良な人々なのです。
さまざまな「ボタンのかけ違い」「すれ違いの積み重ね」から起こるケースがほとんど。
本記事では、Web制作会社とクライアントのボタンの掛け違いから起きる泥沼化のメカニズムと予防策を具体例を交えつつ解説します。
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炎上原因は「ボタンの掛け違い」&「すれ違いの積み重ね」から起きる
炎上するプロジェクトはちょっとした「ボタンの掛け違い」が原因で起こるもの。
悪気があって故意に起こしているケースはまれです。
「ボタンの掛け違い」はお互いの情報格差から生まれてしまうことがほとんどです。
クライアントは無茶な要望をしていないと思っていても、制作会社からすると相当負担がかかることも少なくありません。
また互いの会社の文化や常識を押し付けあってしまうケースも散見されます。
以降、プロジェクトを進めていく上で起こりがちなあるなるパターンをまとめました!
その予防策についても触れていますので、是非参考にしてください。
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モンスタークライアントになってしまう、あるあるパターンとその予防策
「なるはやで対応します」問題
仕事には納期がつきもの。
当たり前ですがクライアントはスピーディな対応を求めがちです。
制作会社側も「なるべく早く対応します!」と答えがちです。そこで生まれてしまうのがこのトラブルです。
ありがちなトラブルの会話例
発注者
TOPページのデザインの修正、〇〇のようにしてほしいのですが。「なるはや」で対応できますか?
制作会社
もちろんです!それでは来週の朝一に対応して提出しますね!
発注者
は!?今日中じゃないの!?
お互いの解釈の違いはこう。
↓
◇ クライアント:「なるべく早く」は「最優先で対応します」という意味
◇ 制作会社:「なるべく早く」は「比較的優先度高め」という意味
上記のようなやり取りが積もり積もって、
◇ クライアント「制作会社の対応が遅い。今日中など、すぐに提出させるようにしなければ!」
◇ 制作会社側「納期の締め切りがやたら厳しい。。。モンスタークライアントだ!」
という形で関係が悪化。
この状態になってしまえば泥沼化は免れません。
お互いがお互いを「仕事ができない。常識というものをわかっていない」とレッテルを貼ってしまい、次第にプロジェクトが炎上に向かいます。
この問題の予防策
納期に関して、まずクライアントができることは「希望の納期を具体的に伝える」こと。
「なるべく早く」ではなく「来週水曜日の午前中」など明確に納期を伝えることが重要です。
その上で、制作会社に納期を提案してもらいましょう。
「もし難しい場合は、納期の目安をご提示ください」と伝えればOKです。
理不尽な納期を設定し続けていては関係が悪化します。
「具体的」で「無理のない」納期を話しあって設定することが重要です!
「予算厳しいんですよね……」問題
次は、値引き問題。
見積もりを出すごとに値引き交渉をおこなって、制作会社にドン引かれてしまうパターンです。
確かに、予算の範囲でいかに結果を出すかを考えるのは担当者の仕事。
安くで良い仕事をしてもらえるなら、これほど嬉しいことはありません。
ただし、制作会社の担当者も人間ですし、毎回値引きを行なっていては、制作会社がやる気を失ってしまいます。
ありがちなトラブルの会話例
発注者
今回安くでやってくれたら、次回の仕事もお願いしますから〜
制作会社
は、はい(前回もそれ言ってなかったっけ?)
発注者
他にもどんどん仕事を回しますから、今回はこれでお願いしますよ!
制作会社
・・・
次の仕事や他の案件をエサに、値引き交渉を行う例。
対企業のBtoBの仕事をされている方なら、誰しも一度は経験したことがあるでしょう。
されると非常に嫌なのですが、知らず知らずのうちにやってしまっているものなので、ぜひ気をつけたい事例です。
この問題の予防策
無理に安価で発注しても継続性はありません。
最終的に制作会社「やりません。」と関係を切られてしまうことも。
そのため、まずは「適正価格」で発注することを目指しましょう。
適正価格で発注するコツは「事前に予算を伝える」です。
制作会社に「300万円の予算の範囲内で、できることを提案してほしい」など予算を素直に伝えた上で、最大限の提案をもらうようにしましょう。
相見積もりを行う場合も適度な社数と行動を。
値段を叩き合わせるような見積もりの取り方は避けましょう。
意外と業界で広まるものです。
「いい感じでお願いします」問題
お金を払ってプロに依頼するんだから、任せて当然。
待っていれば素敵なホームページができるだろう。
……などと勘違いしていませんか?
クライアントの想いを形にするのが制作会社の仕事ですし、ある程度のイメージを伝えれば、デザインに落としこんでホームページを作ってもらえます。
しかし、「丸投げ」は禁物。
トラブルになりがちなのはデザインの確認作業など。
本人は「任せた」つもりでも、知らず知らずの間に「丸投げ」になっているケースがあります。
ありがちなトラブルの会話例
制作会社
TOPページのデザインを確認してもらって大丈夫でしょうか?
発注者
ん〜、もうちょっと良い感じにしてもらって良いですか?
制作会社
良い感じとは、この部分を〇〇に変更するとかですかね?
発注者
その辺は任せるよ!仕事でしょ!
判断軸が分からないまま制作を進めることほど、不安なことはありません。
何も説明しないまま、感覚だけで制作会社の成果物を評価していてはプロジェクトが進みません。
お互いの解釈の違いはこう。
◇ クライアントは「提案するのは制作会社の仕事」
◇ 制作会社は「最低限の判断軸を示してもらえないと動けない」
と「お見合い状態」になってしまうプロジェクトは意外と多いです。
結果、お互いに「全然動いてくれない」と勘違いしプロジェクトは炎上に……。
動かないと思っているから、関係修復の難易度も高いです。
この問題の予防策
任せるといっても、ある程度は制作会社に指示が必要なことを理解しておきましょう。
まずは制作会社の、様々な依頼に丁寧に答えるだけで大丈夫です。
そして、デザインの修正などを依頼する場合は、下記の点を伝えるように気をつけましょう。
筆者の経験上、丸投げされて良いホームページが出来上がったことはありません。
制作会社と二人三脚でホームページを作り上げて行く姿勢が重要です!
「え、それやってくれるんじゃないの?」問題
普段、馴染みのないWebの世界。
ITやWebは「良く分からない」という方も多いかと思います。
専門知識が必要な業界ではあるのですが、「分からない」とあらゆる作業をなんでもかんでも依頼してしまうのは問題です。
このケースは最も「悪気がないモンスタークライアント」かもしれません。
リテラシの低い「非IT」の中小企業クライアントに多い事例です。
ありがちなトラブルの会話例
発注者
なんか急にメールが動かなくなったんだけど!
制作会社
と、いいますと・・・?
発注者
運用の契約してるんだから、見てくれない?
制作会社
いや、ちょっと運用契約の範囲外でして・・・
発注者
細かいこと言わないでよ!!
- メールが受信・送信できない
- 新しく導入したGSuiteの使い方が分からない
- ドメインの更新を忘れた
など、例をあげると限りがありません。本来の制作会社の範囲を超えて相談が。
お互いの解釈の違いはこう。
◇ クライアント:「うちは客なんだから、ちょっとくらい対応してよ」
◇ 制作会社:「業務範囲外のことも押し付けてくる面倒なやつ」
同じような依頼を繰り返しているうちに、だんだんと制作会社の対応が悪くなっていく。。。
という話をしばしば耳にします。
この問題の予防策
最低限の勉強は行いましょう(笑)。
また、PCのサポートや社内環境の整備は、制作会社の「作業範囲外」であることがほとんどです。
例えば、お世話になってるカーディーラーに「ガソリン切れたから入れてきて」って頼まないですよね?しかしWeb制作の現場で意外と起こっているのです。
何度も制作会社に依頼していると追加料金を取られることもあります。
自社の問題は、自社で解決するようにしましょう。
どうしてもサポートが必要な場合は、こういった「IT業務」をまるっとサポートしてくれるプランを用意している制作会社も存在します。
そういったプランを探して発注するようにしましょう。
「ちょ、ちょっと検討します……」問題
こちらは先ほどと代わり、大手や中堅企業クライアントに多い事例。
大きな組織だからこその苦労があるかと思います。
意思決定権者が忙しすぎて、ミーティングに参加できない場合、現場の方は、なかなか自分で判断してプロジェクトを進めるのは難しいかもしれません。
確認作業が多く、プロジェクトが進まなくなってしまうこともしばしばあります。
ありがちなトラブルの会話例
制作会社
TOPページの、この部分確認いただけましたでしょうか?
発注者
あ、現在上司に確認取ってまして、もう少々お待ちください
制作会社
では、こちらのページはデザイン進めておいてもよろしいでしょうか?
発注者
あ、その件については持ち帰らせてください
制作会社
・・・
少し極端な例ですが、定例ミーティングを開いても遅々として進まないことがあります。
クライアントは、手戻りがないようにしっかり上司に確認。
制作会社は決められた納期を守るため、プロジェクトを進めるのに必死。
お互い自分の職務を全うしようとして平行線を辿ることに……。
そうしているうちに、定例ミーティングや進捗管理が「グダグダ」になり、大幅にスケジュールが遅れるということもあり得ます。
この問題の予防策
制作会社の納期だけでなく、クライアント側の作業にも締め切りをつけてもらうのが効果的です。
主に下記のような制作会社からの確認依頼の対応になるはずです。
- デザインの確認
- コンテンツ(文章や画像)の確認
- テストサイトの確認
例えば「TOPページのデザインは1週間以内に確認してくださいね」と指示をもらいましょう。確認期間を互いにしっかり守ることでメリハリが生まれます。
また重要なミーティングでは意思決定権者も参加してもらうのも有効です。
(議事録を取っておくことも忘れずに!)
「え、それは無茶振り……」問題
最後はこちら。
クライアントは「普通」と思っていても、制作会社には「無茶ぶり」に映っているパターンです。
デザインやプログラミングをかじっている人にありがちなパターンでして、知識があるからか、深い要求をしてしまっているケースです。
ありがちなトラブルの会話例
発注者
TOPページのデザイン案、A案の方向で行きましょう!ただちょっと色のパターン見てみたいんですけど・・・
制作会社
大丈夫ですよ!A案の中で2~3パターン出しますね
発注者
いや、もっと見たいので10パターンもらえる?
制作会社
そんなに要りますかね・・・
こちらも極端な例ですが、下記のような要求が意外と多いと思います。
・色変えるだけでしょ?
・文章の変更なんて、プログラミングで一括置換できるでしょ?
・HTMLとCSSちょこっといじるだけでしょ?
お互いの解釈の違いはこう。
◇ クライアント:「ホームページなんて変更が簡単なんだから、すぐできるでしょ」
◇ 制作会社:「意外と影響範囲の大きそうな修正だな……面倒だぞ……」
一見軽微に見える修正でも、実は相応の工数がかかっていることがあります。
「ちょっと変えるだけなのに」という発想は危険です。
このような要求が続くと、制作会社は「あのクライアントが要求が激しい」と警戒。
「デザインの修正は2回まで」と本来はなかった修正回数の制限をされてしまうケースもあります。
この問題の予防策
そもそも後から大幅な修正を生まないために、こまめに合意を取りながらプロジェクトを進めて行くことが重要です。
- サイトマップ
- TOPページのデザイン
- 下層ページのデザイン
上記のようにフェーズ毎に、しっかりチェックを行いましょう。
どうしても修正を希望したい場合は、制作会社に相談して見ましょう。
その際「〜するだけ」と口走ってしまうのは禁物。思わぬ反感を買ってしまいます。
丁寧に相談すれば、制作会社も親身になってくれます。
ホームページの修正に関してはお互いの妥協点が重要なので「ちゃんと議論する」という姿勢が重要になってきます。
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モンスタークライアント化を防ぐための予防策まとめ
冒頭にもお伝えしましたが、悪気のあるモンスタークライアントはごく僅か。
プロジェクトの炎上はちょっとした「ボタンの掛け違い」で起こっています。
重要なのは下記の3点です!
- お互いを尊敬し合う
- 予算の中で、双方納得できる妥協点を見つける
- あと少しだけ、相手を思いやってみる
炎上パターンを理解しておけば、簡単に炎上は防げます。
お互い気持ちよくプロジェクトを進められれば成果も大きくなります。
本記事が、炎上知らずのプロジェクトライフにつながれば幸いです!
また、プロジェクトの炎上を防ぐためには制作会社選びも重要になってきます。
自社の要望にしっかり応えてくれる制作会社を選びましょう。
しかし「知識がそこまでないので、業者の良し悪しを自分で判断できるか心配」という方も多いかと思います。
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代表取締役
岩田 真
2015年にWeb制作会社を設立し、
3年間で上場企業を含む50社以上制作に携わらせていただきました。
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