オウンドメディアはオワコン?令和時代の最新オウンドメディア戦略【インタビュー前編】【2024年最新版】

オウンドメディアはオワコン?令和時代の最新オウンドメディア戦略【インタビュー・前編】

平成から令和へと時代は移り、SNS全盛の中、オウンドメディアの閉鎖が相次いでいます。
オウンドメディアが伸びずに岐路に立たされている運営者の方も多いはず。

しかし、本当にオウンドメディアは限界を迎えたオワコンなのでしょうか?

今回、オウンドメディアがオワコンと呼ばれてしまう原因、オウンドメディアの活路など、これからの戦い方を、月間50万PVの個人メディア『サイクルガジェット』を運営し、オウンドメディア『経営ハッカー』を月間400万PVに成長させた実績を持つ中山 順司さんに伺います。

後編では中山さんが考える「今からオウンドメディアを始めるなら、こんなコンセプトで立ち上げたい」をお届けしますので、あわせてご覧ください。

【無料】オウンドメディアについて相談する

目次
  1. 1. オウンドメディアのトレンドの変化
    1. 1-1. 大手企業を下克上するビジネスブログの台頭
    2. 1-2. 企業の主戦場に進化するオウンドメディア
    3. 1-3. メディアとは名ばかりのキーワード詰め込み型の乱立
    4. 1-4. 横(競合)ばかり見て前(読者)を見ていない傾向
    5. 1-5. 指名され、記憶に残るメディアが生き残る
  2. 2. 令和のオウンドメディア対策
    1. 2-1. ブレないコンセプト(やらないことを明確に)
    2. 2-2. 顔の見える運営者(ライターや監修者も)
    3. 2-3. 一気通貫なマーケ施策の最前線として機能させる
  3. 3. 令和のオウンドメディア対策まとめ

オウンドメディアのトレンドの変化

岩田:まずは、オウンドメディアのトレンドの変化について振り返っていきます。「オウンドメディア」という言葉が日本に輸入されたときのことを教えてください。

中山:企業がブログをやりましょうと言い始めたのが2004年くらい。「企業も情報発信しよう。きちんとお客様に情報を伝えていこう」という風潮の始まりですね。

岩田:その頃はまだ「オウンドメディア」と言われていない?

中山:「ビジネスブログ」ですね。「ビジネスブログが世の中を変えるぞ」と。
オウンドメディアは2011年くらいから出始めた気がします。2012年に『Six Apartブログ』が立ち上がり、最初は「そもそも何のブログなのか?」と言われた迷走期を経て、2014年にオウンドメディアをやる人を助けるためのメディアの立ち位置になりました。

Six Apartブログ

画像出典:Six Apart ブログをはじめます

当時はまだオウンドメディアのセオリーがなく、ハウツーも確立してなかったので、みんなが羅針盤を欲しがっていた。
ルールも整っていない黎明期だったので、情報を求める方々が集まってくれました。

大手企業を下克上するビジネスブログの台頭

岩田:ビジネスブログの時代、中山さんは何をされていましたか?

中山:簡単にいうと啓蒙です。まだ会社の中の人が個人名を使ったり、顔を出してフロントラインに立ったりすることはなかった。公式サイトがあって、誰が書いたかわからないけどキレイな文章がある状態。今も公式サイトってお化粧された文章があって主語が法人ですよね。「弊社は〜」みたいな。

当時のビジネスブログの成功事例は、日産のTIIDAというファミリー用のコンパクトカーの「TIIDA公式」ブログ。

「TIIDA公式」ブログ

画像出典:ティーダ

ユーザーや潜在ユーザー同士が情報を交換すると同時に、日産も情報を発信・受信できる。
実験的な側面もあったと思いますが、開発者が歩み寄る、試乗イベントの様子を出すってそれまでは雑誌しかなかったんです。でも、ちゃんと社内の人が発信する。
「怖がらずにやっていこうよ。ファンは作れるよ」と証明したのがTIIDAブログです。

岩田:日産というのが意外ですね。

中山:ビジネスブログに関しては日産が先駆けですね。トヨタ、ホンダが続いてきました。

岩田:ビジネスブログ時代、まだオウンドメディアは大手の武器だったんですか?

中山:いえ、ネットの世界は簡単に下克上を起こせるので、町の小さな工務店が情報発信をすることで「ウチの町にこんなに親身にリフォームしてくれる店があるんだ」と分かってローカルなファンがつくこともありました。

全国区の勝負ではなく、自分たちの市場で戦うためのツールとして万人が使える点で、ビジネスブログは一つの革命でしたね。
消費するネットから発信する側に回る転換期が2000年代の初期でした。

企業の主戦場に進化するオウンドメディア

岩田:当時はCMSではなく、アメブロとかで作っていましたか?

中山:個人は基本は無料で、オプションで有料プランがある感じです。
月数百円の有料プランで「広告が非表示できます」「ギガが増えます」みたいな。
2003年12月にニフティさんが、ココログを始めたんです。

ココログ

画像出典:ココログ

このココログにシックス・アパートがエンジン(CMS)を提供していました。
ブログの波は個人から波及し、次に企業に行く流れでした。

岩田:まだWordPressやMovable Typeの時代でしょうか?

中山:その頃ですね。2000年初期から、だんだんローカライズされて日本法人が設立されたのが2003年12月。ドットコムバブル(1999~2000年頃にアメリカを中心に起こった、IT関連の新興企業による経済的熱狂)のあとに、新しい波がきた感じです。

岩田:日産などのビジネスブログが上手くいき、アーリーアダプター(流行に敏感で、自ら情報収集を行い判断する層)からアーリーマジョリティ(慎重ではあるものの、新しい商品やサービスなどに対しての関心が高い層)に移り変わる時期がオウンドメディアの隆盛でしょうか?

中山2000年代の後半、ネットで情報を仕入れるのが当たり前になった頃からです。
雑誌の広告枠や展示会ではなく、みんなネットで予習するようになった。
情報源がシフトせざるを得ないタイミングですね。

岩田:僕が2008年に大学に入ってiPhoneを手にして、それからの情報収集はスマホでした。より検索が加速したイメージがあります。トリプルメディアの概念が現れたのが2009年秋なので、その頃からすでにオウンドメディアがあったんですね。

中山:オウンドメディアの概念はありました。企業が自社で発信するブログやメルマガもオウンドメディアのひとつです。概念はすでにあって、今のような「ザ・オウンドメディア」の形はもうちょっと先かもしれません。

岩田:では中山さんは2012年頃にオウンドメディアが熱いと言われても、何を今さらって感じでしたか?

中山:「ようやくビジネスに組み込まれてきたな」という感覚でした。これまでのブログって盛り上がってはいたけど母屋ではない離れ小屋で企業の主戦場ではなかった。今は責任も重くなって受け持つ範囲も広くなっているので、オウンドメディアはいい意味で大変ですよね。

でも、ここまでオウンドメディアが浸透してきたのは感慨深いです。2000年初期に「ブログで発信するぞ!」と言っていたのが、今では当たり前。その動きの一役を担えた嬉しさはあります。

メディアとは名ばかりのキーワード詰め込み型の乱立

令和時代の最新オウンドメディア戦略_1

岩田:オウンドメディアが普及してきた一方で、2010年くらいからキーワードを詰め込みまくったメディアが出てきました。

中山:猫も杓子もやるようになってしまいました。オウンドメディアが浸透していることは喜ばしいですが、「人」よりも「検索エンジン」をハックしようみたいな流れになってしまった。
キュレーションサイトの台頭で、何を検索してもまとめサイトが出る。
名無しの権兵衛が書いた記事が乱立し、当時はなんだかな~という気持ちでしたが、今は「人ファースト」のいい潮流が来ています。

横(競合)ばかり見て前(読者)を見ていない傾向

岩田:キュレーションが急激に伸びていた当時、中山さんはB to Bに取り入れようとは思わなかったですか? マーケットの大きいところからキュレーションがガーっと来たのをB to Bに移植したら面白いという発想は…

中山:なかったです。客層が絞られているのに、全方位的なものをやっても意味がない。PVは稼げますが誰も買わない。PVが多いに越したことはないけど、それよりも「濃さ」です。浮気はせず、必要としている人だけに発信すべき。ついやりたくなっちゃうけど、それって本質じゃなくなってしまう。多くに読まれなくても、必要としている200人に届くようにと、真逆の考え方でした。

岩田: 自社ソフト(Movable Type)を売りまくろうとは思わなかった?

Movable Type

中山:それをやると魂を売ることになってしらけます。必要な人にだけ提案していました。

岩田:中山さんのやり方は、これからスタンダートになりつつある考えですけど、当時では真逆ですね。

中山:大切なことはブレないこと。
サイボウズさんが「サイボウズ式」を2012年5月という我々がSix Apartブログをローンチしたのとほぼ同時期に始めて、秀逸な例として取り上げられていました。

岩田:横(競合)ばかり見て前(読者)を見ていないのは、キュレーションの〇〇選とかですよね。それも、見切れないくらいの数をピックアップするような…

中山:ラーメン96選とか(笑)。そもそもヒットしなければ戦いの場に上がれないので完全否定はしませんが、それしかやらないのはNG。土俵に上がることは大切だけどゴールではない。本当の勝負って横一線で並んだときにどれだけ価値が高いのか、他より面白いのかで決まる。

極論で言うと「今日あなたのメディアが消えたら世の中の誰かが困りますか?」と自問自答してみる。「いや、困らないよ。だってコピーだもん」って言うならやめたほうがいい。世の中に価値を生んでいるかが大事です。

岩田:ハックが目的になったらダメですよね。

中山:美学だけ語っていてもビジネスにはならないので、ハックした先に、「こうやって俺たちは世の中の役に立つんだ」と言えるものがあるならいい。Web幹事さんだって、ハックはするけど困っている人を助ける基本姿勢はブレませんよね。

岩田:はい。僕たちもキュレーション記事を書くことはありますけど、最後はお客様と対話して間違っている方向に行こうとしている会社さんを正しい方向に人力で引き戻す最終工程があります。前工程(記事)だけで完結しないと言う考え方です。

指名され、記憶に残るメディアが生き残る

岩田:「指名され、記憶に残るメディアが生き残る」について詳しく教えてください。

中山:「名前を覚えてもらう」「ファンになってもらう」ことです。「ここのメディアって人に教えたくなる。常にウォッチしたい。こんな素晴らしいサイトは一期一会にするのはもったいない」と思われる存在にならないと持続しません。「ただのキュレーションじゃないぞ、この人はおもしろいから過去記事も読んでみよう」と言わせる。

SEOというバケツで引っ張ってきて苦労してツボに放り込んでも、「あー役に立ったな」でタグを閉じるのでは、その程度のコンテンツしか提案してないということ。今は指名検索がサーチに影響していると聞きますが、本来そうあるべきだと思います。

岩田:経営ハッカーのときは、どういう戦い方をされていましたか?

令和時代の最新オウンドメディア戦略_2

※freee 在籍時の頃(金髪にしているのは人の記憶に残りたかった…からかも)

中山筆者の顔が見える記事、アイデアを出し続けることをめちゃくちゃ意識していました。ライターさんに「SEOは忘れてください。キーワードは横に置いてください」と言うこともありました。その代わり、どんなペルソナか?どんな問題を抱えて困っているのか?を徹底的に考える。読んで良かったと思ってもらえるなら、個人的な失敗談でもいい。再現性はなくてもいい。

エクストリームな発想かもしれませんが、(筆者が)俺はこう思うと、自分の言いたいことが定まっているかどうかです。本名で書くことをいとわないライターさん10人に、「本数は少なくてもいいから月に1本書いてください」とお願いしていました。

キュレーション的な記事も作りましたが、割合は全体の1~2割くらい。ボリュームのあるところは攻めざるを得ないけど、そこに魂は売らなかった。そうやっていたら、結果的にメディア名を覚えてもらえました。

岩田:記事の役割を明確に差別化していたんですね。何種類くらいに分けていましたか?

中山:3つです。ソーシャルを意識したもの。検索を意識したもの。検索をしているけど内容の濃いもの。

岩田:Web幹事も、ガーっと掘り下げるのもとライトなものと分けています。濃いものは割合で言えばどれくらい作られていましたか?

中山:時期にもよりますが10本に1本くらいです。

岩田:なるほど。10記事に1本だけでもオウンドメディアをちゃんと覚えてもらえるんですね。

【無料】オウンドメディアについて相談する

令和のオウンドメディア対策

令和時代の最新オウンドメディア戦略_3

岩田:いよいよ、これからのオウンドメディアについて聞いていきたいと思います。

中山:実を言うと、これからもへったくれもないと思っています。企業がお客様から好きになってもらって買ってもらう、企業からお客様に歩み寄って情報発信するのは時代が変わっても同じです。動画、音声など手段は変わりますけどね。

けど、「オウンドメディアがオワコンでこれからはSNSだ」って言う企業はソーシャルでも通用しません。手段のせいにするなと思います。よく「オウンドメディアやブログをやりたいです」って相談されますが、必ず「誰の何を解決するんですか?」って問い返すんです。すると返事は「〜〜のキーワードで取りたいから」。それって「俺が俺が」の視点であってお客様のことを考えていない。

岩田:ハックのことしか考えてませんよね。

中山:先のプランがないので、PVが取れても何も生まない。お客様は必ず何かに困っているので、お手伝いは絶対にできます。お手伝いをできないビジネスなんて存在しません。

カッコいいことを言うと利他精神です。自分たちのためだけでなく、世の中のためになることをやる。徹底的に考え抜くこと。シャープさんはすごいですよ。
「食洗機を欲しいんです」とTwitterで聞かれたら「ウチにないのでパナソニックさんに行ってください」って平気で言いますから(笑)。

シャープ_Twitter

画像出典:シャープ株式会社 Twitterアカウント

シャープさんは、もう広告は通用しないと言っています。お客様は見透かしているから。
それでもツイッターのフォロワーが63万人もいるのは、みんなすでに気づいていることを言語化して代弁しているからです。

最近のオウンドメディアを見ていると、基本に忠実じゃない方が多いかもしれません。モテたいからマニュアル本を読んでいる感じです。相談に乗ってあげる、守ってあげるなどしないで、髪の毛の色を変えてみるだけ。本当に女の子に歩み寄ることをしていない。企業発信も同じで、考えるのは面倒臭いし手間もかかるけど、それをしない企業はオウンドメディアをやっても同じ。オウンドメディアというジャンルのせいではないです。

ブレないコンセプト(やらないことを明確に)

岩田:何をやらないかを明確にすることも大事ですね。

中山:「誰の、何を解決する」を決めていないからブレる。実はオウンドメディアの編集長って立場が弱いんです。いろんな人から「あれやって、これはやめて」と言われまくります。ハイハイとすべて受けていると、よろず屋になってしまう。ときにノーと言える自分たちのバイブルを持っていなければいけない。経営ハッカーを例に出すと、ターゲットが明確でした。個人事業主、企業の社長さんの困りごとを解決する、お金や税金、経理や人事のバックオフィス業務を解決する。それ以外はやらない。

岩田:ターゲットが増えると軸がブレてきますよね。どこで止めるかが大事です。

中山:動画が増えるなど手段は変わるかもしれないけど、濃さは失わないこと。キーワードからしか考えないと弾が切れたら終わり。でも、その時代ごとにお客様の困りごとは無くならない。ニーズから逆算したらキーワード至上主義にはならない。あくまでキーワードは顕在化しているだけ。キーワードになり得ていないけど、漠然とした不安はある。

岩田:Web幹事は、検索ボリュームが20くらいしかない「ホームページ制作 準備」という記事もガッツリ作っていましたが、ランディングしたページのサイドバーに置いとけばちゃんと読まれました。困りごととキーワードって似て非なるものですよね。

中山:「Web制作会社の見分け方〇〇点」という記事はあるけど、それより色んな会社に騙されてきた社長さんのインタビューの方が解決につながるかもしれない。
検索されるものでなく、読んで初めて気づくもの。そう考えれば、絶対にネタはなくならない。課題は永遠になくならないですから。

岩田:キーワードが切れたと言って安易に周辺領域に手を出さない。課題と向き合って深掘っていくことが大事だと。

中山一番いいのは、お客様に直接聞きにいくことです。「どうしてお客様になってくれたんですか?まだ何か困ってることはありませんか?」と、ストレートに聞いちゃう。
一番シンプルで最も収穫が大きいのに会いに行かない人が多い。きれいに言語化できない漠然とした声を咀嚼するのがプロです。

オウンドメディア運営でネタが切れることを極度に恐れるのはあるあるですが、それはキーワードありきでやっているから。砂の山を崩すだけならそういう気持ちになるでしょうが、発想を変えて「掘れば」いくらでも湧いてきます。B to B、B to Cは関係ない。

顔の見える運営者(ライターや監修者も)

令和時代の最新オウンドメディア戦略_4

岩田:SNSの時代になってきて、少しずつ発信者の顔が見えるようになってきましたね。

中山あとは誰が書いたかを、Googleがきちんと重要視するようになってきて、社会的レピテーションをしっかり察知できているように思います。すごくいいことです。積極的に顔も名前も肩書きも出していった方がプラスに働くし、責任が問われるので質も担保される。

岩田:自分の専門じゃないところでメディアをやる場合はどうするんだ?という声を聞きます。

中山:外から監修できる人、アドバイザーや品質チェッカーを入れておく、専門家と一緒にネタを考えるなど方法はあります。オウンドメディアの編集長がその業界に精通している必要はないですから。税理士さんにメディア運営ができるのかと言えばそうじゃない。僕は会計のメディアをやっていましたが、簿記の資格も持っていなかった(笑)。

岩田:一つのパーツとして協力してもらえるだけのビジョンを作って協力をお願いすることが、これからの編集長に求められるかもしれません。

中山:編集長はチームづくりの力が必要です。一人でやるのは無理。そして、オウンドメディアですべてをやる必要はない。役割分担です。オウンドメディアは稚魚を獲得する。その人たちがメルマガやホワイトペーパーに登録して成魚になって最後はマグロになる。オウンドメディアはプロセスの中の一端を担うパーツであり、他の部署と関係を作ること。離れ小島でやらない。

岩田:そうしないと初期の頃のビジネスブログになっちゃいますよね。

中山:ただ読まれただけで終わります。もっと成果と結びつけないとオウンドメディアをやる意味はない。貢献度を見える化しないと。成果を出しているのに首を斬られたら意味がない。オウンドメディアも「ちゃんと成果を出してます」って社内営業が必要です。社内営業を怠らないこと。

一気通貫なマーケ施策の最前線として機能させる

岩田:オウンドメディアがマーケ施策の一パーツであることは理解し始めている一方で、マーケ施策の一環として唱えにくい側面もあります。特にWebマーケって数字の世界でシビアになる。

記事は何本つくるの?、どれくらいの流入が取れてコンバージョンになるの?どれくらいの利益を産むの?って考えると、しんどくなる。ROI(投資利益率)を唱えにくい。IRR(内部利益率)の話になると計算が破綻してきませんか?

中山:そこをシビアに突き止めると「じゃあ、やらなくていいんじゃない」と常に社内の議論になります。上が納得していないと、ただの逆風になりますからね。

岩田:SNS系の記事は「バズりました、PV取れました、でもコンバージョンはしてません」ってなると評価されない可能性もあります。

中山:数字化できないモヤモヤですよね。63万人のフォロワーがいて年がら年中バズっているあのシャープさんですら、中の人は上に呼び出されて「あのツイートは何が面白いんだ?」って説明を求められることもあるそうです。

シャープ_Twitter_1

逆風が吹く中で「もうやめようかな」と思ったとき、Twitter Japanが「シャープさんのツイッターはブランディングが効いていますよ」と言ってくれたそうです。店頭に行って家電を買うとき、シャープのツイッターを連想する割合が76%。それってすごいじゃないですか。あれだけメーカーがある中で。

岩田:数字ってやり方ですよね。貢献度を上手く見える化することが大事。ほとんどのオウンドメディア担当者が、そこで悩んでいる気がします。

中山:生き残り戦略を持つことです。既存のROIとかCVとかアトリビューションだけで言われると分が悪い。でも、シャープさんのような「ファースト想起」の数字って意外と強いかもしれない。言葉は乱暴ですけど、「自分のロジックをでっち上げる」こと。これだ!って決めて、そこの数字を上げることを維持していく。そのためにアンケートを取ることも方法のひとつ。プラスのお金がかかるし大変ですけど、かける意味がありますよ。

【無料】オウンドメディアについて相談する

令和のオウンドメディア対策まとめ

中山さんに話を伺い、オウンドメディアの変遷を振り返りながら、オウンドメディアがオワコンと言われる原因、今後の対策を探ってきました。

オウンドメディアがオワコンと言われる原因

  • 横(競合)ばかりを見て前(読者)と向き合っていない
  • 「記事」が読まれるだけで「記憶」に残らない
  • 社内から孤立して貢献度を理解してもらえていない

令和のオウンドメディアの戦い方

  • ターゲットと「やらないこと」を明確にする
  • 検索ワードではなく、お客様の困りごとを自分から掘り下げにいく
  • 積極的に顔や肩書きを出し、責任を持つことで質を担保する
  • PV、CV以外の貢献度の数字を見える化し、生き残り戦略を持つ

これらの考察をもとに、後編では中山順司さんが考える具体的なオウンドメディアを紹介していきます!

これからオウンドメディアを立ち上げるなら、どんなコンセプトにするか真剣に考えてみた【インタビュー後編】

【無料】オウンドメディアについて相談する

Q. オウンドメディアとは何ですか?

企業が運営している「ブログ」のようなものです。サイト(ブログ)内で記事を作成し、売上の増加に繋げます。

Q. オウンドメディアがオワコンだと言われている原因は?

オウンドメディアがオワコンだと言われている原因として「キーワード詰め込み型オウンドメディアが乱立している」「競合メディアを意識しすぎて読者の目線に立てていない」等が挙げられます。詳しくは記事をご覧ください。

Q. オウンドメディアは今後も有効なマーケティング手法でしょうか?

オウンドメディアは今後も有効なマーケティング手法です。企業が自社の情報をオウンドメディアで発信すれば、信頼性が高まり、顧客と親密な関係が築けます。ただし、成功させるにはターゲットとなるユーザーのニーズ・問題を理解し、質の高いコンテンツを提供する必要があります。