リテールメディアとは|注目の高まる理由や活用の仕組み・メリットを解説!

近年、小売業界で耳にすることの多くなったリテールメディアとはなにか?自社も取り組むべきなのか?知りたい担当者に向け、注目されている理由から、活用の仕組みやメリットまで、事例を交えながらリテールメディアの全体像をわかりやすく解説していきます。

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目次
  1. 1. リテールメディアとは
    1. 1-1. OMO / オムニチャネルとしてのリテールメディア
    2. 1-2. JINSの事例 / 活用法
    3. 1-3. リテールとカスタマーの関係性
  2. 2. 広告媒体としてのリテールメディア
    1. 2-1. Walmartの事例 / 活用法
  3. 3. なぜリテールメディアが注目されているのか
    1. 3-1. 1st Partyデータによる精緻なターゲティング
    2. 3-2. メーカーとの協働 / 広告収入
  4. 4. リテールメディア活用のメリット
  5. 5. リテールメディア広告市場の成長は期待できるのか
    1. 5-1. 小売大手がリテールメディアへの取り組みを開始
  6. 6. 【まとめ】リテールメディアの全体像を紹介しました

リテールメディアとは

リテールとは、一般消費者を対象にした小売のこと。つまり、リテールメディアとは、小売事業者が保有して自社で情報発信をコントロールできるメディア(媒体)のことです。「小売事業者のオウンドメディア」がリテールメディアだと考えておけばいいでしょう。オンライン / オフラインを問わず、以下のようなメディアがリテールメディアに含まれます。

  • ECサイト
  • 店舗アプリ
  • デジタルサイネージ
  • 店舗ポップ / ポスター

特に目新しいメディアではないのでは?そう感じた方も多いはずですが、それは当然です。なぜなら、これらのメディアが「リテールメディア」として注目されるようになったのは、パンデミック以降のここ数年だからです。

それでは、小売事業者のオウンドメディアは、なぜリテールメディアと呼ばれるようになったのか?それを理解するには、従来のオウンドメディアを活用したマーケティング施策「OMO」「オムニチャネル」を知ることが早道です。

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OMO / オムニチャネルとしてのリテールメディア

OMO(Online Marges with Offline)とは、ECサイトなどのオンラインデータと実店舗のオフラインデータを統合し、顧客体験を高める施策のこと。オムニチャネルとは、ECサイト / SNS / 実店舗など、顧客との接点を増やして購買へつなげる施策のことです。

統合データを活用して適切なサービスを提供するOMO、あらゆる接点を連携させて購買へ誘導するオムニチャネル、それぞれ顧客へのアプローチ方法は異なります。しかし、顧客獲得 / 囲い込みのため、オンライン / オフライン問わずに顧客データをフル活用するという点では同じ。

そのためには、実店舗を含むオウンドメディアのデータ一元管理が必須です。リテールメディア(オウンドメディア)を活用してOMO / マルチチャネル戦略を成功させた「JINS」の事例を紹介しておきましょう。

JINSの事例 / 活用法

株式会社ジンズのアイウエアブランド「JINS」は、オンラインショップ / JINSアプリと国内各地の店舗を連携 / 統合させた豊富なデジタルサービスを提供。オンラインショップで購入した商品を、都合にあわせて店舗やコンビニで受け取れるのはもちろん、JINSならではの個性的なサービスの用意されたアプリも利用できます。

たとえば、スマートフォンでメガネを試着できる「MEGANE ON MEGANE」や、リストからお似合い度順でメガネをレコメンドする「JINS BRAINS2」など。購入時に貯まるマイルや商品保証書とも連携でき、アプリからメガネの度数や購入履歴も確認可能です。オンライン / オフラインで蓄積された会員データは、顧客サービスの改善に役立てられています。

画像出典:JINS

また、よりライトなユーザー層を取り込むため、LINE公式アカウントを活用しているのも同社の特徴。会員登録すると、公式アプリと同等のサービスを利用できるほか、店舗に設置されたBeaconとも連携。ユーザーがJINS店舗に近づくとBeaconが反応し、店舗で使えるクーポンを受け取れる仕組みを構築しています。

画像出典:JINS

リテールとカスタマーの関係性

オンライン / オフラインを活用するOMO / オムニチャネルは、リテールショップとカスタマーの関係性を強化できる非常に優れたマーケティング戦略。しかし、あくまでもリテールとカスタマーの関係性強化であることも事実です。

JINSの事例は、アイウェアブランドとリテールを兼ねているからこそ、OMO / オムニチャネルの効果を最大化できたともいえます。一般的なリテールであれば、ポイント / クーポン / キャンペーンなど、メーカーやブランドの介在する施策の実施は限定的です。

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広告媒体としてのリテールメディア

こうした状況のなかで誕生したのが、リテールのオウンドメディアを広告媒体として利用する「リテールメディア」の概念です。具体的には、リテールのECサイトやアプリ、店舗のデジタルサイネージを「メーカーやブランド向けの広告枠」として開放すること。リテールメディアの先駆けともいえる、アメリカ「Walmart」の事例を紹介しておきましょう。

Walmartの事例 / 活用法

全米に4,700以上の店舗を持つWalmartは、もともとAmazonに対抗するため自社ECサイトやアプリの拡充に注力していました。膨大な店舗数をカバーする流通網という強みを持つ同社は、配送面でAmazonを凌駕するまでEC事業を成長させることに成功。ECで購入して実店舗で受け取るOMO / オムニチャネル戦略も成功させていました。

こうした取り組みがさらに実を結ぶことになったのがパンデミックです。カーブサイドピックアップでも大きな成功を収めたWalmartは、自社ECサイトやアプリを有効活用するべくリテールメディア戦略を開始したのです。たとえば、WalmartのECサイト / アプリへ、メーカーやブランド向けに顧客データと連動した検索広告やディスプレイ広告を提供開始。

画像出典:Walmart

実店舗では、7万台ともいわれるデジタルサイネージを利用した広告枠をメーカー / ブランドに開放するほか、体験型イベントやサンプリングなどの実施もサポートしています。

画像出典:Walmart

リテールメディアの国内 / 海外事例については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:リテールメディアの活用事例|参考にしたい国内・海外事例を紹介!

なぜリテールメディアが注目されているのか

Walmartをはじめ、Target、BEST BUYなど、全米小売事業者の多くがリテールメディアを活用し始めており、その影響は日本にも及んでいます。では、なぜリテールメディアが注目されているのか?その理由と背景を簡単に紹介しておきましょう。

1st Partyデータによる精緻なターゲティング

リテールメディアが注目されているのは、リテールの保有する「1st Partyデータ」を利用できることが大きな理由。1st Partyデータとは、マーケティングの主体となる企業が収集 / 保有しているデータのことです。

メーカーやブランドも、自社で収集した1st Partyデータを保有していますが、通常は消費者の購買履歴などのリアルなデータまでは含まれていません。つまり、消費者の嗜好や行動の反映された1st Partyデータを利用できるリテールメディアなら、精緻なターゲティングで適切な顧客に適切な広告を配信できるということです。

EUのGDPRに代表されるように、Cookieを利用した3rd Partyデータの利用が制限されつつあることも、リテールメディへの注目が高まる背景。これまで、リスティング広告などに頼ってきたメーカー / ブランドは、代替えメディアとしてリテールメディアに注目しているのです。

メーカーとの協働 / 広告収入

一方、リテールメディアは、これまでメーカー / ブランドとの接点が少なかったリテールにとってもメーカーとの協働、広告収入という新たな可能性を生み出します。たとえば、メーカーのマーケティング部門が企画したキャンペーンではなく、1st Partyデータを利用した局地的なプロモーション展開などが可能。

取り扱い商品の販促をメーカー / ブランドと協働できるだけでなく、広告による収入も得られます。リテールメディアの活用に前向きな日本企業が増えているのはこのためです。

リテールメディア活用のメリット

リテールメディアの活用は、リテールやメーカー / ブランドだけでなく、エンドユーザーであるカスタマー(消費者)にもメリットを与えます。簡単に整理しておきましょう。

リテール(小売事業者)のメリット

・メーカー / ブランドと協働したプロモーション /

キャンペーンなどを実施できる

・広告収入を得られる

メーカー / ブランドのメリット

・リテールの1st Partyデータを利用した効率的な広告配信

・効果測定による精度高い広告運用が可能

カスタマー(消費者)のメリット

・興味関心に応じた的確な商品情報を得られる

リテールメディア広告市場の成長は期待できるのか

3rd Party Cookieの利用制限という背景があるなか、日本でもリテールメディア広告市場の成長は期待できるのか。リテールメディアの活用に興味を持つ方であれば気になっているはず。そんな方に向け、2022年4月〜7月に実施された株式会社CARTA HOLDINGSの調査結果を紹介しておきましょう。

画像出典:株式会社CARTA HOLDINGS

金額はそれぞれ「メーカーによるリテールメディア広告への年間支出総額」を対象としていますが、2022年には135億円、2026年には805億円規模になると予測。OMO / オムニチャネルに代表される「小売DX化」の進展にともない、リテールメディア広告市場も拡大すると期待されています。

小売大手がリテールメディアへの取り組みを開始

実際、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなど、大手小売事業者を中心に日本でもリテールメディアへ取り組む企業が増えています。たとえば、公式アプリを起点に、Webサイトや店内に設置されたデジタルサイネージと連携した戦略を展開するセブンイレブン。ポイント / クーポン効率利用、メーカーとの協働で大きな成果を上げつつあります。

セブンイレブン公式アプリ

画像出典:セブン-イレブン

【まとめ】リテールメディアの全体像を紹介しました

近年、小売業界で耳にすることの多くなったリテールメディアとはなにか?自社も取り組むべきなのか?知りたい担当者に向け、注目されている理由から、活用の仕組みやメリットまで、事例を交えながらリテールメディアの全体像をわかりやすく解説してきました。

リテールだけでなく、メーカーにとっても魅力的なリテールメディアですが、先行しているアメリカと日本では状況が大きく異なることも事実。なによりも、前提となる「小売DX化」の実現という課題を解決することが先決です。

なお、リテールメディアに強い制作会社の探し方・選び方がわからない!という方はWeb幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

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