- 更新日 2023.01.13
- カテゴリー ECサイト
越境ECとは?おすすめの商材や注意点、日本企業の事例など基本を解説
越境ECとは、日本の国境を越えて海外展開するEC(オンラインショップ)のこと。EC市場は世界的に成長を続けており、ビジネスの市場拡大を目指して多くの企業が越ECに取り組んでいます。
そんななか、日本だけでなく海外にも市場を開拓したいと、越境ECに興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、越境ECとはそもそもどんなものなのか知りたい方向けに
- 越境ECとは
- 越境ECの市場規模と注目されている理由
- 越境ECのメリット・デメリット
- 越境ECの始め方・手順
- 越境ECでビジネスを成功に導くポイント
- 越境ECの成功事例
について、わかりやすく紹介していきます。
本記事を読むことで、越境ECについての理解が深まり、ビジネスの売上アップにつながるヒントや自社が越境ECを始める判断基準を得られますのでぜひ参考にしてみてください。
なお、越境ECのためにサイトを立ち上げたいという場合、越境ECでの実績がある制作会社がおすすめです。
自社に合った制作会社を探したい場合はWeb幹事までお気軽にご相談ください。
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越境ECとは
画像引用:Tabio UK
冒頭でも紹介していますが、越境ECとは、自社の商品・サービスを国外の顧客に販売するためのECサイト(オンラインショップ)のことです。
越境ECの構築方法としては
- 国外向けの自社ECサイトを立ち上げる方法
- 海外のECプラットフォームに出店・出品する方法
などいくつかの種類があります。
越境ECでの販売でおすすめの商材は、販売先の国・地域による違いがありますが、日本でないと手に入りにくいもの、日本製であることが強みになる共通点があります。これは、越境ECにおける商材の大前提です。
越境ECの市場規模
越境ECの市場規模について紹介しましょう。
世界の越境ECの市場規模は年々拡大している
2022年に経済産業省がまとめた「令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書」によると、世界の越境ECの市場規模は2026年に4兆8,200億USDに拡大すると予想されています。
画像:令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書|経済産業省
日本、米国、中国の越境EC市場規模も拡大している
同調査によると、2021年の日本、米国、中国における越境ECの市場規模はそれぞれ
- 日本:3,727億円(成長率9.1%)
- 米国:2兆409億円(成長率19.3%)
- 中国:4兆7,165億円(成長率10.7%)
となっており、各国の市場が大きく成長していることがわかります。
以下は日本、米国、中国経由の越境ECの購入額と市場規模をまとめた図です。
画像:令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書|経済産業省
各国が日本から購入した金額は
- 米国:1兆2,224億円(前年比+9.7%)
- 中国:2兆1,382億円(前年比+25.7%)
となっており、市場の大きさ、すなわち越境ECのビジネスチャンスの可能性が大きいことがわかります。
越境ECに関する詳しい調査報告内容は「令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書|経済産業省」をぜひご覧ください。
越境ECが注目・重要視されている理由
越境ECの市場規模が成長していることはわかりましたが、なぜこれほどまでに注目されているのでしょうか。
越境ECが注目・重要視されている主だった背景・理由を紹介しましょう。
日本の人口減少により市場縮小が見込まれている
越境ECが重要視されている背景として、日本の人口減少が挙げられます。
人口が減るということは、労働力や購買力のある人が減るということを意味し、同時に国内での消費も減少するといえます。
日本におけるビジネスチャンスが減ることが見込まれるため、越境ECをとおしてより経済規模の大きい海外の市場をターゲットとした動きが活発化しているのです。
実店舗を持たないため少ない初期投資でビジネス展開できる
海外でビジネス展開をする場合、従来だと実店舗をオープンする必要があったため初期投資やリスクが大きい中でのチャレンジとなりました。
一方で越境ECは実店舗を持たずにオンラインで商品を販売できるため、初期コストを削減し比較的リスクを抑えたうえでビジネスにチャレンジできるようになりました。
インターネットの普及でビジネスの国境がなくなり、海外展開のハードルが下がった
現代ではインターネットが普及したことで、日本にいながら世界中と常時つながることができるようになりました。
海外にビジネス展開したい場合、現地法人を立ち上げて現地にて商品を輸入し活動する必要がありました。
越境ECでは、物流を整備することで海外の目的の地域までへ商品を発送できるため、日本国内に居ながらビジネスを完結できることも注目される要因となっています。
訪日外国人へのリピート購入と相性が良い
日本へ旅行に来た訪日外国人は日本でさまざまな商品を購入します。
昔から日本の製品は高品質といわれるように、日本の製品を気に入り、帰国後もリピートして商品を購入する人も多い状況。
越境ECは海外から日本で話題になっている商品を買うことができることからも、インバウンド需要との相性がよく大きな相乗効果が期待できます。
スマホやSNSの普及により商品購入チャネルがオンラインにシフトしている
近年はECサイトからの商品購入はもちろん、SNSで商品のレビューを調べ、そのままSNS上で決済・商品購入をする人も増えています。
また、生まれたときからインターネットに慣れ親しんでいるデジタルネイティブ世代の存在もオンラインでの消費を加速させている要因です。
世界的にオンラインでの取引が一般化したことで、越境ECの注目度も必然的に高まっています。
越境ECに取り組むメリット
つづいて、越境ECに取り組むことで得られるメリットについて紹介しましょう。
越境ECに参入する場合、自社の商品や事業が、以下で紹介するメリットを活かせる形を考えましょう。
市場開拓・新規顧客獲得ができる
越境ECのもっとも大きなメリットは、国内市場だけでは獲得できない新規顧客を獲得できる可能性があることです。
日本国内のEC市場も今後まだ市場の拡大は期待できるものの、参入事業者の増加とともに競争が激しくなっており、大きな利益を出すことが難しくなっています。長期的には、少子化による市場の縮小も想定されます。
一方で、越境EC市場に目を向ければ、競合の少ない市場を見つけることで、新規顧客を一気に獲得して大きな利益を上げられる可能性があります。また、早めに市場に進出することで、後から競合が参入してきても負けないブランド力を育てることができます。
日本製品は品質への信用度が高いという強み
画像引用:Tabio USA
日本でないとなかなか手に入らない商品がある場合、越境EC市場では強みになります。
また、化粧品や衣類など訪日外国人客に人気のある商品について、日本製品は「品質が良い」イメージがあることも強みです。このような、国内市場だと当たり前に思っていたことが、越境EC市場ではそのまま強みになることがあります。
美容大国と呼ばれる韓国のコスメが日本の女性の間で爆発的に売れているのと同じです。
従来の海外展開よりも簡単
越境ECという方法がない頃は、海外展開をするためには、現地の店舗に商品を卸すか、現地で実店舗を運営する必要がありました。いずれにしても必要なコストと時間が大きく、資金や人材が豊富にないと、海外展開は難しいものでした。
しかし、越境ECという方法ができたことで、従来よりもはるかに簡単に、コストと時間を抑えて海外展開が可能になりました。さらに、たとえばeBayなどの越境ECのためのプラットフォームや支援サービスも増えており、年々越境ECに参入しやすい状況となっています。
インバウンド旅行客の購入も見込める 越境ECを展開しておくと、旅行客が日本滞在中に商品を購入し、その商品を気に入って「自国に戻ってもまた購入したい」と思った場合、リピート購入してもらえます。特に、化粧品やスキンケア用品などの消耗品は、インバウンド旅行客のリピート購入と相性がいい傾向があります。
越境ECにトライしてみたい、越境ECのためのサイト制作を検討してみたいという場合、お気軽にWeb幹事までご相談ください。越境ECサイト制作の実績がある会社から、ご予算やご要望に合った制作会社をご提案いたします。
越境ECの注意点
越境ECを始める場合、自社だけですべて対応するのは難しい点もあるかと思います。必要に応じて支援サービスの利用も検討してください。ここで紹介している点についても、さまざまな支援サービスが存在しているので、自社に合った形を選べるはずです。
越境ECの三大ハードルが難関
言語・決済・物流は、越境ECを始めるにあたり、最初に対応を考えなければならない三大ハードルといえます。
言語
国外向けのECサイトは、現地の言語でコンテンツを作成する必要があります。商品ページだけでなく、買い物カゴや決済画面など顧客の注文によって表示内容が変わるページも、現地の言語で表示されるように気をつけましょう。これらの点は、越境EC向けのECサイトを制作している会社に相談できます。
また、カスタマーサポートも現地の言葉で対応する必要があります。メールでの対応であれば、翻訳ツールなどを使ってある程度自力で対応することも可能です。
チャットなどリアルタイムでの回答が必要なサポートは、現地の言葉で対応できるスタッフがいれば任せることもできますが、自社で対応が難しければ越境EC向けのカスタマーサポートを提供している支援企業に相談してみましょう。
決済
国・地域ごとに主流の決済方法は異なります。販売する国・地域に合った決済方法を導入しましょう。たとえば、中国ではアリペイ、米国ではクレジットカード・デビットカードが主流です。また、為替変動がどう反映されるかにより、価格設定を調整する必要があります。
物流
日本から海外への輸送、そして海外での注文者までの配送の業者選定が重要です。何よりまず、商品が注文者に間違いなく届く必要があります。また、配送料とリードタイムは、顧客が越境ECの利用を躊躇う理由となりやすい点です。できるだけ配送料を抑え、リードタイムを短縮するために、国・地域や商品に合わせて最適な物流業者を選びましょう。こういった点は、越境ECの販売代行やコンサルティングを行なっている支援会社に相談できます。
日本と現地の法律・規制を遵守する
国・地域や利用するECプラットフォームによって、販売できない商品や認証が必要な商品があります。その国・地域の法律や規制、利用するECプラットフォームの規約などを確認しましょう。
その国・地域で実績のあるコンサルティングサービスなどは、こういった重要な点をアドバイスしてくれるので相談してみるのもひとつの方法です。また、日本貿易振興機構(JETRO)などで、輸出に関する情報発信がされています。
また、越境ECは国外に商品を輸出することになるので、関税がかかります。関税の制度は国によって異なり、複雑です。販売予定の商品の関税を調べるには、まず、取扱品目の「HSコード(国際統一商品分類)」を確認しましょう。財務省関税局のWebサイトで公開されている、輸出統計品目表(2021年版)で確認できます。HSコードは6桁の数字で、国際貿易の対象となるすべての商品を網羅しています。
なお、越境ECに関する法律や規制は、それが最新の情報であるか確認しましょう。以前は大丈夫だったが今はルール違反ということもあります。特に中国は、法律や規制が急に変わることがあるので注意が必要です。
大きな変更があったときは、越境ECの支援サービスなどで解説記事が出たりセミナーが開催されたりすることが多いので、支援企業の情報をある程度チェックしておくと便利です。
現地の商習慣の把握、現地対応のマーケティングを
海外で需要がある商品でも、売り方が適切でないと、本来もっと売れるはずのものが売れないということが起こります。商習慣の違いや、現地の消費者ニーズの違いなど、日本で売れる方法がそのまま海外で通用するわけではないので気をつけましょう。
たとえば、日本では当たり前の定期購入が主流ではない国・地域もあります。台湾などでは、定期購入ではなくまとめ買いが好まれるといわれます。
あるいは、海外で広告を出す際に、消費者にうける表現、逆によくない表現などは、日本とは異なることが多いものです。また、欧米ではWeb広告を運用する際のユーザーデータの取り扱いについて、日本より厳しい規制がある場合が多いようです。
こういったことは、日本にいるとなかなか分からないので、現地での実績があるコンサルティングサービスなどを利用して相談するのも良いかもしれません。
関連記事:越境ECの制作に強い優良制作会社5社をプロが厳選!【2022年版】目的別におすすめします! | Web幹事
日本企業の越境EC成功事例
株式会社呉竹
画像引用:株式会社呉竹
株式会社呉竹は、墨、書道用具などの書道用具、筆ペンなどの筆記具、画材を扱う文房具のメーカーです。奈良県に拠点があり、創業は明治35年という老舗です。Amazonを活用してアメリカやヨーロッパなどに越境ECを行なっています。
日本ならではの商品を扱うメーカーとして、どのように海外のニーズを捉え、どのように商品を展開しているのか、参考になります。
タビオ株式会社
画像引用:Tabio USA
タビオ株式会社は、「Tabio(タビオ)」「靴下屋」など靴下専門ブランドを展開、実店舗とECサイトの両方で商品の販売を行なっています。自社ECサイトを立ち上げ、アメリカ、フランス、イギリス向けの越境ECサイトを運営しています。
靴下という日常的なアパレル商材を、ブランドの特徴を表現しながら、各国に合わせてどのように紹介しているのか、参考になります。
株式会社龍角散
画像引用:株式会社龍角散
咳止めなどで有名な製薬会社、株式会社龍角散。同社の製品は、もともとインバウンド客に人気でしたが、コロナ禍において訪日外国人客が激減した後、中国越境ECで売上を大きく伸ばしています。上画像は中国の越境EC用の大手ECプラットフォーム「天猫国際(Tmall Global)」における龍角散のページです。
龍角散では、天猫国際の他にも、中国越境EC用のプラットフォームである「京東国際(JD Worldwide)」にも出店しています。
健康に関する商品は、中国越境EC市場で人気のあるジャンルであり、どのように売り込みを行っているのかが、参考になります。
越境ECのハードルは下がっている
越境EC市場の成長とともに、越境ECのためのプラットフォームや支援サービスも増えており、より簡単に越境ECを始められるようになっています。
まずは、自社の商材が越境EC市場においてニーズがあるのか、本記事を参考に調べてみてください。特に、日本でないとなかなか手に入らないもので、海外でも人気のジャンルの商品は可能性があります。
越境ECを始めるにあたり、自社サイトを立ち上げたい場合は、越境ECの実績がある制作会社がおすすめです。日本国内向けのECサイトの構築とは異なる点も、しっかりサポート可能です。
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岩田
Web制作会社を設立し、
3年間で上場企業を含む50社以上制作に携わらせていただきました。
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この記事を書いた人

河村 郁恵
専門分野: Webライティング,Webコンテンツ制作
フリーランスのライター、編集者。屋号は「卯の筆企画」。ネット通販企業、EC業界メディアでの勤務経験あり。EC運営、Webマーケティング、キャッシュレス決済、自然食・健康食品関連の記事作成・編集経験が豊富です。
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