- 更新日 2024.02.05
- カテゴリー ECサイト
ECサイトをフルスクラッチ開発するメリット|活かせる企業・注意点も解説【2024年最新版】
いくつかあるECサイト構築方法のうち、もっとも自由度が高いのが「フルスクラッチ開発」。新たに自社ECサイトの立ち上げを検討している企業・店舗担当者の方であれば、フルスクラッチを採用すべきなのか?以下のようなことを知りたいはず。
・ECサイトをフルスクラッチ開発するメリットは?
・他のECサイト構築方法との違いは?
・フルスクラッチにデメリットはある?
・フルスクラッチ開発のECサイトを活かせるのはどんな企業?
そこで本記事では、他のECサイト構築方法との違いや、採用する最大のメリット、知っておきたいデメリットを含むフルスクラッチ開発の概要・基本を解説!フルスクラッチ開発のECサイトを活かせる企業の特性も紹介していきます。
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ECサイトのフルスクラッチ開発とは
画像引用:ZOZOTOWN
ユーザーの操作画面となる「フロントエンド」、ショッピング機能を提供する「バックエンド」、商品・顧客データなどを保管・管理する「データベース」でECサイトは構成されており、各プログラムはインターネットに接続されたサーバに格納されます。つまり、フルスクラッチ開発とは、ECサイトを構成する「フロントエンド」「バックエンド」「データベース」の各プログラムを、既存のEC構築ツールやサービスを利用せずにゼロから開発していくこと。誰もが知るECサイト・モール「Amazon」や、アパレル業界の「ユニクロ」「ZOZOTOWN」などのECサイトがフルスクラッチで開発されています。
事実上の制限なくどんなECサイトでも構築できる開発方法
たとえば、そのときどきの最新技術を採用したり、他のECサイトにはない独自機能を実装することができます。また、自社基幹システムやスマホアプリとシームレスに連携させたり、将来的な規模のスケーリングに備えて拡張性を持たせておくなども可能です。それこそ、フルスクラッチならAmazonのような巨大ECサイトも構築できます。
フルスクラッチ開発で利用される言語・フレームワーク
よく利用される言語 |
言語と組み合わせて利用されるフレームワーク |
PHP |
Laravel、Symfony |
Ruby |
Ruby on Rails |
Java |
Spring Framework、Jakarta EEなど |
Python |
Django、web2pyなど |
ECサイトはWebサイトの一種だともいえるため、ユーザーの目にするフロントエンド部分は、HTML・CSS・JavaScriptなどのWeb技術を利用して作られます。一方、機能を提供するバックエンド、データを管理するデータベースで利用される技術は、フルスクラッチ開発するECサイトの要件に応じてさまざま。たとえば、フルスクラッチ開発であっても、あらかじめ汎用的な機能が網羅されたベースプログラム「フレームワーク」を活用することもあります。ECサイトの要件に応じて適切なプログラミング言語、フレームワークの組み合わせは異なります。
他のECサイト構築方法とフルスクラッチの違い
自社ECサイトを構築する方法はフルスクラッチだけではありません。主要なECサイト構築方法は以下の通りです。
ECサイトの構築方法 |
特徴 |
ASP(SaaS)型 |
サービスベンダーがクラウド環境に構築した ECプラットフォームを、インターネット経由で利用する |
オープンソース型 |
ソースコードが公開されているECプログラムを利用し、 自社環境にECサイトを構築する (レンタルサーバを利用する場合が一般的) |
パッケージ型 |
既存のECパッケージソフトウェアを購入し、 自社環境にECサイトを構築する (レンタルサーバ、またはAWSなどのプライベートクラウド、オンプレミスなど) |
ASP(SaaS)型
画像引用:Shopify
ソフトを購入したりインストールしたりして使うのではなく、インターネット上で共通のサービスを利用してネットショップを作るサービスのこと。上の画像のShopifyがASPの代表例。作りたいECサイトの規模やクオリティにもよりますが、ASPは構築費用・維持費が低コストでカスタマイズにも対応しています。ASPのShopifyで作られたECサイトの事例としてはゴーゴーカレーがあります。
デメリットとしては乗り換えがしにくい点。そのASPの仕様に縛られるため、万が一、他のサービスに変えたいと思った場合は、使えない機能やデザインなどが出てきます。
ASPも販売手数料はかかり、ECモールよりは安いとはいえ、商品が売れるごとに手数料をASPの企業に支払います。構築費用相場は無料~100万円程度です。無料のものは、サポートやサイトのテンプレートなどが有料のものよりも大幅に制限されています。
オープンソース型
画像引用:EC-CUBE
ソースコード(システムを作るコンピュータ言語)が無償で公開されているサービスのこと。WordPressを使った経験がある方は、そのEC版と思ってもらえれば大丈夫です。オープンソースのEC-CUBEで作られたショップ事例に「DOUTORオンラインショップ」があります。
どのような仕組みでECサイトが構築されているかオープンになっているので、他のサービスやシステムに変えようと思ったときも乗り換えがしやすいです。先ほどのASPであれば、構造が公開されていないので、例えばBASEからShopifyに変えようとするとき苦労します。また、オープンソースはサーバーを自分で用意する必要があります。
パッケージ
画像引用:EC-ORANGE
ECサイトを構築するために必要な機能が、あらかじめ搭載されているソフトのこと。オリジナルの機能をカスタマイズすることで、独自のECサイトを構築するサービスを指します。同じ規模のECサイトを作る場合、すでに機能が用意されているため、構築が早いことが特徴です。中にはソースコードを教えてくれるサービスもあります。しかし、基本的にはパッケージの仕様に縛られるため、他社への乗り換えや機能が提供サービスに縛られることがデメリットになります。
もっとも柔軟性が高いのがフルスクラッチ
上述したECサイト構築方法にはそれぞれ異なる特徴がありますが、フルスクラッチ以外の開発方法に共通しているのはベンダーが用意した「既存のサービスあるいは製品として完成したプログラム」を利用することです。オープンソース・パッケージでは、デザインテンプレートやプラグインを使って見た目を変えたり機能を拡張していけるものの、ECサイト構築の柔軟性・自由度という点では0の状態から構築するフルスクラッチに及びません。他の構築方法に比べた場合のフルスクラッチ最大のアドバンテージです。
もっとも高コストで開発期間が長いのがフルスクラッチ
大手企業でもECサイト構築に採用されることの多いパッケージは、ライセンスのみで数百万円から。カスタマイズを加えても1,000万円以内。開発期間は数ヶ月に収まることがほとんどです。しかし、フルスクラッチの開発コストは数千万円から1億円、開発期間が1年を超えることもめずらしくありません。
ECサイト構築でフルスクラッチが採用されることは少ない
柔軟性・自由度が高いというアドバンテージを考慮に入れても、高額な開発コスト・開発期間の長期化というディスアドバンテージを持つフルスクラッチは、近年、ECサイトの構築手法として敬遠される傾向にあります。なぜなら、小〜中規模の企業・店舗であれば、ASP・オープンソースが、中〜大規模の企業・店舗であればパッケージが、ネットショップ運営に必要な機能を網羅するようになったからです。開発コスト・納期というリスクを取ってまで、フルスクラッチを採用する必要はないという流れになっているといえるでしょう。
ECサイトをフルスクラッチ開発するメリット
それでは、あえてリスクを取ってまでECサイトをフルスクラッチ開発するメリットとはなんでしょう?簡単に解説していきましょう。
独自のビジネスモデルを創出できる
IT技術の進化とともに、ASP、オープンソース、パッケージそれぞれのECサイト構築プラットフォームは進化してきました。SaaSでありながら、オープンソースやパッケージのようにテンプレート・アプリ(プラグイン)で柔軟にカスタマイズできるShopifyのようなサービスもあります。
しかし、進化しているとはいえ、既存のECサイト構築プラットフォームは「現時点でニーズの高い機能を網羅している」に過ぎません。イノベーションを起こせる新たなアイデアがあっても、既存のツール・サービスでは実現できませんが、フルスクラッチでECサイトを構築するなら可能。事実上の制限なく開発できるフルスクラッチなら、自社独自のECビジネスモデルを創出できるのです。
事業計画の変更に臨機応変に対応できる
フルスクラッチで構築したECサイトは、完全な自社システムであるため、ローンチ後の機能追加・拡張も自由自在。つまり、自社のEC事業計画に変更を加えたい場合でも、フルスクラッチECサイトなら臨機応変に対応可能です。
たとえば、フルスクラッチECサイト「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは、新型コロナウイルス感染症蔓延の影響もあり、多くの店舗を休業せざるを得なかった2020年8月期、国内事業全体の売上が前期比7.6%減の8,068億円にとどまりました。しかし、ECサイトの売上は29.3%増の1.076億円までに成長。2021年8月期には、海外を含むグループ全体のEC売上が3,800億円になり、ECの売上構成比も9%から18%までに高まりました。
画像引用:ネットショップ担当者フォーラム
これは、事業環境の変化に応じてデジタル広告の比率を増やしたことに加え、着こなし発見アプリ「スタイルヒント」をECサイトと連動し、オンラインで購入できる仕組みを強化したからです。フルスクラッチECサイトならではのメリットを活かした好例だといえるでしょう。
機能要件を最適化しやすい
フルスクラッチ開発なら、本当に自社が必要としている機能のみに絞り込んだサイトを開発できるメリットが得られます。これは、企画・要件定義という開発工程を通じて、自社の機能要件(サイトに求められる必要な機能)を明確にしていくという、フルスクラッチ開発の特徴があるからです。
ECサイトのフルスクラッチ開発を担当するのは?
メリットが理解できて、実際にフルスクラッチでECサイトを開発しようか検討する前に、誰が開発を担当するかを決めなければなりません。利用される技術を見てもお分かりのように、ECサイトのフルスクラッチ開発はシステム開発とイコール。当然、ECサイトの構築にはシステム開発のノウハウが必要となりますが、大きく「外部のECサイト・システム開発会社」「自社開発チームの主導によるインハウス開発」の2つの構築方法が考えられます。
外部の開発会社に委託
フルスクラッチ開発に対応する外部開発会社にECサイト構築を委託する方法です。一般的には、構築するECサイトに必要な機能・要求を自社でまとめ、開発会社主導で「要件定義」「設計」「実装」を進めていくウォーターフォール開発が採用されることがほとんど。自社開発チームを持たない企業・店舗が多かった、これまでの主流といえる方法です。
自社のジャンルとなるべく同じ開発の実績が豊富な開発会社を選ぶのがおすすめ。なぜなら、自社への理解が深い可能性が高いから。特に大規模なECサイトになるほど、開発実績の有無がそのままサイトの品質に直結します。自社にシステム開発の専門知識や技術がない、大規模なサイト開発を計画している場合は、外注がおすすめです。
インハウス(内製)で開発
要件定義から設計、実装、テスト、リリースまで、開発プロセスのすべてを自社チームで担当する方法です。実装時に不足するエンジニアを外部から調達することはあっても、あくまでも開発の主導権を自社が持つのが特徴。近年フルスクラッチでECサイトを構築する場合の主流の方法となっています。外注費用がかからないメリットはあります。ただし、相応に人材を採用するコストがかかりることに注意しましょう。
フルスクラッチでECサイトを構築する注意点
注意すべきは「体制」「コスト」に関すること。以下から簡単に解説していきます。
インハウスでなければメリットは半減する
フルスクラッチECサイト最大のメリットである「独自のビジネスモデル創出」「事業計画への臨機応変な対応」は、インハウス(自社内製)でのECサイト構築・運営でなければ効果を最大化できません。そもそも「独自のビジネスモデル創出」は、企業のミッション・理念と直結した経営戦略そのものです。また、ECサイトのフルスクラッチ開発を外注していたのでは「事業計画への臨機応変な対応」は望めません。ECサイトを運営するなかで得られたデータを事業戦略に反映させ、変更を素早く実行するためには、インハウスでECサイト構築・運営できる体制が必要不可欠なのです。
潤沢な資金が必要
ときには1億円を超える開発コストが必要になるフルスクラッチECサイトは、少なくとも年商50億円以上の企業でないと費用対効果に見合わない可能性が高いといえます。また、ASP(SaaS)のように自動でソフトウェアアップデートされないフルスクラッチECサイトは、システムが陳腐化しやすいデメリットもあります。構築したECサイトはそのまま使い続けられるわけではなく、5年程度のサイクルでリニューアルする必要も出てくるでしょう。
ECサイトをフルスクラッチ開発するべきは企業の特徴は主に5つ
メリット・デメリットを踏まえると、以下の条件を満たす企業・店舗が該当すると考えられます。
- ECサイト構築・運営に潤沢な資金を投入できる年商50億円以上
- インハウスでECサイト構築・運営できるリソース(開発・運営チーム)がある
- ECサイト運営で得られるインサイトを戦略に転換できるマーケティングリソースがある
- パッケージでは実現できない特殊な業務フロー・手順が必要
- コンプライアンス・セキュリティなどの特殊な要件を満たす機能が必要
ECサイトフルスクラッチまとめ
自由にECサイトを構築できるフルスクラッチを選ぶべきか?悩んでいる方に向け、本記事では、他のECサイト構築方法との違いや、採用する最大のメリット、知っておきたいデメリットを含むフルスクラッチ開発の概要・基本を解説するとともに、フルスクラッチ開発のECサイトを活かせる企業の特性も紹介してきました。
ECサイトをフルスクラッチ開発する手法は、現代でもメリットの大きなECサイト構築方法であることに変わりありませんが、それを活かせる企業・店舗はそれほど多くないのも事実です。構築方法ありきで考えるのではなく、ECサイトの目的・規模からブレイクダウンして最適な構築方法を選定することが重要です。
※ECサイトのフルスクラッチ開発を外部開発会社に依頼したい方、あるいはECサイトの構築方法に悩んでいる方は、Web幹事にご相談ください。専任のアドバイザーが最適なサービスや開発会社をご紹介します。相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
コンサルタントのご紹介
岩田
Web制作会社を設立し、
3年間で上場企業を含む50社以上制作に携わらせていただきました。
様々なお客様のWeb制作を実際に行ってきましたので、
初心者の方でも安心してご相談ください!
Q. ECサイトをフルスクラッチ開発するメリットは?
ECサイトをフルスクラッチ開発するメリットとして「独自のビジネスモデルを創出できる」「事業計画の変更に臨機応変に対応できる「機能要件を最適化しやすい」」等が挙げられます。それぞれの詳しい特徴は記事内で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
Q. ECサイトをフルスクラッチ開発する際の注意点(デメリット)は?
ECサイトをフルスクラッチ開発するデメリットは「インハウス(自社内製)でのECサイト構築・運営でなければ効果を最大化できない」「潤沢な資金が必要」などです。具体的な対策や知っておくべき注意点については、記事をご参照ください。
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この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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